統合反対の香港ファンド アルパインに株主提案 – 日本経済新聞

 アルパインは20日、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーから株主提案を受け取ったと発表した。6月に予定する定時株主総会でオアシスは、2018年3月期の期末配当として1株325円を支払うことや社外取締役2人の選任を求めている。オアシスはアルパイン株の9.18%を保有しており、親会社のアルプス電気との経営統合に異議を唱えている。

 アルパインの経営陣は18年3月期の期末配当…

【グローバル日立#02】社長肝いりのM&A、この先に見据えるビジネス – ニュースイッチ Newswitch

 日立製作所は2017年、産業機器関連で2件の事業再編を実施した。空気圧縮機メーカーの米サルエアーを買収する一方、子会社の日立国際電気の半導体製造装置事業を売却した。IoT(モノのインターネット)ソリューションで顧客の課題解決を図る「社会イノベーション事業」拡大を図る日立。産業機器領域での売り買いによる事業ポートフォリオ組み替えに、顧客開拓戦略の一端が垣間見える。

 二つの事業再編の注目点は、それぞれの機器台数ベースの市場規模にある。半導体製造装置は顧客は半導体メーカーのみで市場規模も限定的。それに対し、さまざまな機器の動力源となる空気をつくり出す空気圧縮機は、工場運営を支える縁の下の力持ちであり、台数規模も大きい。

 社会イノベーション事業拡大のためのIoTプラットフォーム(基盤)「ルマーダ」をどう売り込むか。青木優和日立副社長は「顧客の経営トップレベルへのアプローチに加え、工場など現場レベルでのアプローチも欠かせない」と指摘する。サルエアーは北米で販売店約200社を展開し、約4000社を顧客に持つ。中国にも販売網を有する。

 日立グループの空気圧縮機販売の販路拡大というメリットはもちろんだが、ルマーダの展開加速という側面でも「サルエアーの販売網を取り込めるのは大きなメリット」(青木副社長)と強調する。

 17年8月。米インディアナ州ミシガンシティに青木副社長ら日立幹部の姿があった。サルエアーの工場で買収の狙いや、今後の経営方針などを伝える「タウンホールミーティング」を開いた。イベントにはサルエアーの従業員約1200人とその家族も参加。着ぐるみで相撲レスラーに扮した幹部が、“土俵入り”するなど和気あいあいとした雰囲気で進んだ。

 サルエアーは「ファンドに経営を握られ不安定だった」(日立幹部)こともあり、日立による買収を好意的に受け止めた。理想的な形でPMI(買収後統合プロセス)に乗り出し、17年11月にはサルエアーに日立スタッフが着任。管理層だけでなく、現場レベルでも「ゴリゴリとPMIを進めている」(同)という。サルエアーの販路を活用し、ルマーダを多様な工場に提案する取り組みを早期に軌道に乗せたい考えだ。

 東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、ルマーダ拡販のためのM&A(合併・買収)は積極的に進める考え。サルエアーという先兵が成果を出せば、工場での販路獲得を目的にメーカーを対象とした新たなM&Aを繰り出す可能性が出てくる。

18年版中小企業白書を閣議決定 承継M&Aで生産性が向上 – SankeiBiz

 政府は20日の閣議で、2018年版の中小企業白書と小規模企業白書を決定した。中小企業の業績は改善しているが、大企業との生産性格差は拡大していると指摘。事業承継を契機とした企業の合併・買収(M&A)やIT導入で追い上げを図るべきだとした。

 白書は、事業承継などを機にM&Aを実施した企業が、相手企業との連携などで生産性が向上していると指摘。積極的な活用を促すため、企業同士を紹介する金融機関などの役割が重要だとした。

 IT導入による業務見直しの重要性も強調。製造設備に設置したセンサーで稼働データを分析することによって業務の効率化につなげた企業の事例を紹介した。一人の従業員が複数の業務を兼任するなど人材の能力向上も有効だとした。

 18年版白書では、先行企業による取り組み事例を17年から倍増させて113件紹介し、経営者に具体的な参考となるよう工夫した。

 白書によると、中小企業は全企業数の99.7%、従業員数の約70%を占め日本経済の根幹を担う。労働生産性は大企業の半分以下にとどまる。伸び率も、製造業では16年度までの7年間で9.6%上昇したが、大企業は32.1%向上しており、差は開く一方だ。経営者の高齢化や設備投資の遅れが要因とみられる。

ライザップの「Jリーグ参入」が日本のスポーツ界を変える可能性 – 現代ビジネス

「15年間、親会社なしの市民クラブ=低予算」というハンデを背負い、大企業にバックアップされた強豪チームがひしめくトップリーグ・J1の壁に何度も跳ね返されてきた湘南ベルマーレ。4度目のJ1昇格を果たした今シーズン、19年ぶりに親会社を持つこととなった。「湘南の暴れん坊」が、健康産業の風雲児・RIZAPのバックアップを受けて、どのように変わって行くのか。Jリーグ開幕時からベルマーレをフォローしてきた戸塚氏によれば、今後の日本のスポーツの将来を占う意味でも目が離せない存在だと言う。

主力選手を毎年のように引き抜かれるチーム

「結果にコミットする」をキャッチフレーズとするRIZAP(ライザップ)グループが、Jリーグのクラブの経営に乗り出すことになった。

同社と株式会社三栄建築設計がRIZAPグループの子会社となる合併会社を設立し、ベルマーレを連結子会社化して運営することになったのである。

国内トップカテゴリーのJリーグのクラブは、サッカーのプロ化以前から大企業がバックアップしている。たとえば、トヨタ自動車が名古屋グランパスを、日産自動車が横浜F・マリノスを、三菱自工と三菱重工業が浦和レッズの筆頭株主を務めている。

世界的な企業が経営に携わるJリーグにおいて、ベルマーレは異色の立ち位置で活動してきた。1999年に準大手ゼネコンのフジタが撤退し、翌2000年から親会社を持たない市民クラブとしてリスタートをはかったのである。戦いの舞台もJ1ではなくJ2となった。

小口のスポンサーを地道に集め、ホームタウンを拡大して商圏を広げていきながら、ベルマーレは2010年にJ1昇格を果たす。この頃からベルマーレのサッカーは面白いとの評判が広がり、2012年に曺貴裁(チョウ・キジェ)監督が就任すると明確な個性を確立する。

90分間足を止めずに走り続け、DFも積極的に攻撃に参加するサッカーは「湘南スタイル」と呼ばれるようになり、選手たちの間には「ベルマーレに行けば成長できる」との認識が広がっていく。

試合開始から終了まで走り続けるのが「湘南スタイル」(ptoto by gettyimages)

ところが、「湘南スタイル」の定着はベルマーレに思いがけない悩みを運んできた。主力選手を毎年のように引き抜かれてしまうのである。

Jリーグは各クラブの経営情報を年に一度開示しており、2016年度分から監督、選手らの年俸に当たるチーム人件費を抜き出してみる。

J1の18チームでもっとも人件費が多いのは、浦和レッズの23億8100万円で、2位はヴィッセル神戸の20億6800万円、3位はFC東京の20億2500万円、4位は名古屋グランパスの19億8400万円、5位は横浜F・マリノスの19億6600万円だった。

クラブ名を主要株主に置き換えると、三菱自工と三菱重工業、楽天、東京ガス、トヨタ自動車、日産自動車、の順になる。6位以下の主要株主にも、新日鐵住金(鹿島アントラーズ)、パナソニック(ガンバ大阪)、日立製作所(柏レイソル)、富士通(川崎フロンターレ)といったメジャー企業が並ぶ。

ベルマーレの人件費は、7億9800万円だった。7億3800万円のヴァンフォーレ甲府に次いで、J1で2番目に少なかった。その結果として「他クラブから選手に届く移籍のオファーに対して、金銭的に勝負できない」(水谷尚人・湘南ベルマーレ代表取締役社長)という状況が続いてしまう。

ベルマーレのサッカーが好きだから残りたいと願う選手を引き留められず、戦力を保持できないゆえにJ1に定着することも叶わない。J1昇格とJ2降格を繰り返してきた(この10年間に3度昇格し3度降格して、今季が4度目の昇格)。

欧州や南米のサッカー先進国には、選手を育てて他クラブに売ることで経営を成り立たせるクラブもある。ベルマーレも同じような道を歩んできたが、中学生年代の育成にかかる費用だけで毎年5000万円の赤字を計上してきた。「育成に定評がある」との評価を受けつつも、その内実は苦しいものだった。

中国の対米技術投資を制限 米財務省、緊急権限法の活用検討 – SankeiBiz

 米財務省のタルバート次官補は19日、機密性の高い極めて重要な技術に対する中国からの投資を制限するために、同省が国際緊急経済権限法(IEEPA)の活用を検討中だと明らかにした。また、省内ではこれとは別に、外国企業による米国への直接投資が国家安全保障に及ぼす影響を検討する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限拡大に向けた超党派での法案成立を精査していると語った。

 トランプ政権は中国による米企業の知的財産権侵害への制裁措置を計画しており、こうした取り組みはその一環に当たる。

 トランプ大統領は3月に米通商代表部(USTR)から中国の知的財産権侵害の報告を受けた後、ムニューシン米財務長官に対し中国企業による対米投資の制限策を検討するよう要請していた。

 3月22日付の大統領文書によると、米国で重要と見なされる産業や技術に対し、中国が指示ないし促した投資をめぐる懸念について、ムニューシン長官は5月21日ごろまで対応策を提案する必要がある。

 ブルームバーグ・ニュースは3月27日、米財務省の当局者が半導体や第5世代移動通信システム(5G)など、中国企業からの投資を禁じる技術分野を特定する計画に取り組んでいると報じていた。

 中国政府系の半導体大手、清華紫光集団は既に、米国のハイテク企業の買収や投資計画を撤回せざるを得なくなっている。ただ、テンセント(騰訊)やアリババグループ、百度(バイドゥ)を筆頭に民間企業は積極的に対米投資を行っている。ブルームバーグのデータによれば、テンセントはこの5年で50社以上の米企業に投資。オーベンのような人工知能(AI)関連の新興企業や人工衛星装置の開発を手掛けるサテロジックUSAなどが含まれる。

 国際緊急経済権限法は「異例かつ特別な脅威」への対応として大統領に国家緊急事態を宣言する権限を付与する。大統領が緊急事態を宣言した後、取引の停止や資産接収が可能になる。(ブルームバーグ Saleha Mohsin)

​M&Aでビジネスする人々(2)日本経営承継支援代表取締役 笹川敏幸さんに聞く – M&A Online

中小企業の事業承継やM&Aを支援する株式会社日本経営承継支援。商工会議所、地方銀行、会計事務所をはじめ、公的機関(各都道府県に設置された事業引継ぎ支援センター)との連携を強みに、全国各地の中小企業のM&A仲介のコンサルティングなどを展開する。代表の笹川敏幸氏は、独立系のM&A仲介会社を経て、起業したM&A仲介・コンサルティングの専門家。「最近、中小企業にとってM&Aが経営の選択肢の一つとして浸透しました」と語る。

働き始めた頃、M&Aの認知度の低さに苦労

―まず、M&A仲介の業務に興味を持たれ、その事業を展開するに至った経緯を教えてください。

私もM&Aというと、新聞紙上を賑わすような大手企業を舞台としたものと思っていましたが、この仕事に就く20年ほど前に「中小企業のM&Aを専門的にやっている会社がある」と聞き、正直驚きました。聞いてみると、社会的な意義も大きく、自分を成長させてくれる面白い仕事だと考え、その会社にお世話になることにしました。

―日本M&Aセンターさんですね。入社されてみて、考えていたこととの違いは。

私は新潟出身で、入社当初、地元に帰ったときに高校時代の友人と話しても、「M&A? 何それ?」です(笑)。余談ですが、父は地元の公務員でしたから、地元の大学を出て、一公務員になることを勧められました。親戚も私の就職先が東京の一般企業、M&Aの会社と聞いて驚いていたくらいです。

その後、仕事でいろいろな会社を訪問しましたが、当時、中小企業の経営者の皆さんも、M&Aは縁遠いものと感じていたようです。どういうビジネスか理解してもらうことが、まずひと苦労でしたね。

―当時、中小企業を回られて、どのような印象を持ちましたか。

ニッチな市場を衝いて、かつキラリと光る事業をされている方が多い。新聞などには載らない企業でも、優れた技術を持って事業をされている方はたくさんいる。でも、そういう方々の多くは跡継ぎ問題に悩んでいる。将来はM&Aにかかわらず自分で事業をやりしたいと思っていたので、そういうキラリと光る事業に関わっていけたらと思いましたね。

―その後、独立されて日本経営承継支援を創業されたということですね。

いえ、退職後に4年ほど、監査法人系のコンサルティング会社に勤めました。M&Aに関わる仕事がメインですが、案件は比較的大きな会社が多かったですね。規模の違いでM&Aでやるべきこともずいぶん変わります。中小企業と大手、別の“レイヤー”の実情を理解するという面でも、とても勉強になりました。

ただ、その監査法人系のコンサルティング会社の仕事からは「新しいビジネスを見つけて独立して事業をやろう」という思いはなかったですね。きっと、会計士の方がやっている仕事とは、少し畑が違うと感じたのだと思います。

―その頃、公的機関の事業引継ぎセンターとの関わりも増えてきたのですか。

事業引継ぎセンターは2011年秋に東京と大阪に設置され、以後、各都道府県に設置された公的な機関です。私は日本M&Aセンターで商工会議所と会計事務所との連携を図る仕事をしていて、商工会議所のM&Aサポートシステムという組織でアドバイザーをやっていました。そのつながりで東京都の事業引継ぎセンターの立ち上げのお手伝いのため、引継ぎ支援センターのサブマネジャーに就任しました。現在、弊社が引継ぎ支援センターとの連携しているのはこういった経緯があるからです。

地銀統合へ要請書「地方の状況伝えるため」 長崎市長に聞く – 日本経済新聞

 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の経営統合のメドが立っていないことについて、長崎県市長会は3月、公正取引委員会に実現を求める要請書を提出した。地域の首長らが企業結合の要請に赴くのは異例だ。市長会の会長を務める長崎市の田上富久市長に狙いなどについて聞いた。

 ――要望書を出した経緯を教えてください。

 「経営統合の基本合意から2年以上がたったがどうなるかわからない状況だ。公取委のアンケ…

武田薬品、欧州製薬大手買収額を上積み 日本企業として過去最大の海外企業買収に – SankeiBiz

 アイルランドの製薬大手シャイアーに対し、総額約430億ポンド(約6兆5700億円)での買収を提案していた武田薬品工業は20日、買収額を約5億ポンド上積みすると発表した。実現すれば日本企業として過去最大の海外企業買収となる。世界経済が堅調に推移する中、日本企業は生産能力拡大や新たな成長戦略の実現を目指した大型買収を相次いで打ち出しているが、市場関係者の間では「高値づかみ」への警戒感も出ている。

 武田は当初、シャイアー株を1株当たり46・5ポンド相当で買い取り、シャイアー株主に現金と武田の新株を割り当てる案を示した。しかしシャイアーから「(企業価値を)著しく過小評価している」と拒否されたため、1株当たり47ポンドに引き上げた。実現すれば、ソフトバンクグループによる英国半導体設計のアーム・ホールディングスの買収(約3兆3千億円)を上回り、日本企業による過去最大の海外企業買収になる見込みだ。

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楽天生命、第一生命HDと業務提携 法人向け保険で :日本経済新聞 – 日本経済新聞

 楽天生命保険と第一生命ホールディングス(HD)は保険商品の販売・開発で提携する。電子商取引(EC)サイト「楽天市場」に出店する事業者などを対象に、年内にも第一生命HDが扱う経営者向け保険の販売を始める。楽天が培った顧客データ分析のノウハウを生かし、顧客の健康状態など細かな条件で保険料を設定できる新商品の開発にも取り組む。

 楽天生命が販売代理店となり、まず第一生命HD傘下のネオファースト生命保険の…

VWが取締役会の刷新を決議 組織も再編、商用車部門はIPOへ – FBC Business Consulting

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は12日の監査役会で、組織再編と取締役会の役員交代を決議した。自動車業界で進む急速な変化を受けて取り組んでいる同社の構造改革をこれまで以上に迅速かつ徹底的に推し進めることが狙いで、社長を同日付でマティアス・ミュラー氏からヘルベルト・ディース取締役(VWブランド乗用車担当)へと交代するとともに、取締役でも役員を入れ替えた。組織再編では計12あるブランドを「大衆車」「高級車」「超高級車」「商用車」の4部門に編成したうえで、商用車部門は新規株式公開(IPO)に向けて株式会社へと改めることを決めた。

今回の監査役会は当初、13日に予定されていた。だが、10日のマスコミ報道をきっかけにミュラー社長の解任方針が明らかになり、従業員の間に動揺が広がったことから前倒しした。同社長は退任の形を取っているものの、実質的に解任された格好だ。

ミュラー社長は2015年、排ガス不正問題の発覚で辞任したマルティン・ヴィンターコルン社長の後任として就任した。排ガス不正問題で悪化した財務をV字回復させるとともに、車両の電動・IoT・自動運転化に向けた経営の方向転換にも成功した。

こうした功績があるにもかかわらず解任された背景には、ミュラー社長が監査役会に“敵”を作ったほか、ディース取締役の評価が高まったことがある。

ディース取締役は2015年7月、ヴィンターコルン社長(当時)が高級車大手のBMWから引き抜いた人材で、ヴィンターコルン社長の後釜と目されていた。だが就任から3カ月も経たない9月下旬に、排ガス不正問題の責任を取ってヴィンターコルン社長が辞任したことから、VWグループで実績を上げていない新参のディース取締役が社長に就任する可能性はひとまず閉ざされた。

ディース取締役はBMW時代にコストカッターとして辣腕を振った人物で、VWでは収益力が低迷するVWブランド乗用車の改革を託された。同取締役は従業員代表の事業所委員会、金属労組IGメタルと激しい応酬を繰り広げながら改革計画を策定するとともに、これを貫徹。17年には売上高営業利益率を16年の1.8%から4.1%へと引き上げることに成功した。

VWの親会社であるポルシェ・アウトモビル・ホールディングのオーナー一族(ポルシェ家とピエヒ家)は同取締役の手腕を高く評価。VWの社長に昇格させることを強く望むようになった。VWグループの従業員代表として監査役を務めるベルント・オスターロー氏(コンツェルン事業所委員長)も、グループ全体の改革を推し進める能力はミュラー社長よりもディース取締役の方が高いとの判断に至ったもようだ。

社長交代で

資本・労働側の監査役が一致

ミュラー社長の失言も命取りとなった。同社長は『シュピーゲル』誌のインタビューで、高額報酬の制限を求めるドイツ国内での議論について、あらゆる事柄を統制した社会主義国家の旧東ドイツと同じだと揶揄。VWの監査役であるニーダーザクセン州のシュテファン・ヴァイル首相(社会民主党)はこの発言に激怒し、公然と批判した。

ミュラー社長は退任後の身の処し方を問われた質問に対しても、ハードワークが必要なVWの監査役会長には就任しないが、監査役であれば務めてもよいと監査役をバカにしたような回答した。ミュラー社長は失言が目立つことから、ヴァイル州首相は大企業のトップとして不適格だと思うようになったとされる。ニーダーザクセン州はVWに20%出資する大株主で、ポルシェ、ピエヒ両家に次ぐ大きな影響力を持つ。

ミュラー社長は能力不足でなく、より優れた人材の登場と失言が原因で解任された格好だ。議決権比率にして計70%超の株式を保有する資本側の監査役(ポルシェ家、ピエヒ家、ニーダーザクセン州首相)と従業員・労組側で絶大な影響力を持つオスターロー監査役が手を結んだ以上、ミュラー社長がこれに抗することは不可能だった。

ディーター・ペッチュ監査役会長はプレスリリースで、ミュラー社長の功績をたたえ、謝意を表明。それとともにディース新社長について、抜本改革を迅速かつ徹底的に推進できる「適任の経営者」だと太鼓判を押した。

今回の監査役会では、カールハインツ・ブレシング取締役(人事担当)を同日付でコンツェルン事業所委員会のグンナール・キリアン幹事長に交代することも決めた。キリアン氏はVWで大きな力を持つオスターロー監査役の腹心であることから、同監査役の影響力は一段と強まりそうだ。

フランシスコ・ハビエル・ガルシア・サンス取締役(調達担当)は自らの意志で退任する。後任は未定で、当面はVWブランド乗用車のラルフ・ブラントシュテッター取締役(調達担当)が代行する。

このほか、VWの超高級車子会社であるポルシェAG(ポルシェ・アウトモビル・ホールディングの孫会社)のオリファー・ブルーメ社長がVW取締役に就任した。

ディース新社長はVWブランド乗用車の社長をこれまでに引き続き務める。また、車両IoT化の重要性が高まっていることから、車両IT分野の統括責任者となる。

商用車部門の本社移転

12ブランドの再編では、VWとシュコダ、セアトの3ブランドを大衆車、アウディを高級車、ポルシェ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニの4ブランドを超高級車、MAN、スカニア、フォルクスワーゲン・カミーニョス・エ・オニブス(南米ブランド)、RIO(コネクテッドトラックシステム)の4ブランドを商用車部門に割り振る。これにより事業効率とシナジー効果を高める考えだ。

乗用車事業との関連が薄い商用車部門(フォルクスワーゲン・トラック・アンド・バス=VWTB)については事業の拡大や強化に向けた資金を調達しやすくするために、有限会社から株式会社へと改める。まずはドイツ法に基づく株式会社(AG)とし、その後に欧州株式会社(SE)へと変更する。電動・IoT化とコネクテッドサービスの強化、事業地域の拡大を通して商用車市場の「グローバルチャンピオン」となることが目標だ。

VWTBの本社は独北部のブラウンシュヴァイクから南部のミュンヘンに移転する。ミュンヘンはブラウンシュヴァイクと異なりVWの本社所在地ヴォルフスブルクから距離的に遠いため、VWTBに対するVW本社の影響力は弱まるとみられる。

VWTBの株式会社化・IPOに向けてはMANの事業を整理する必要がある。MANは船舶用エンジンなどを手がけるMANディーゼル・アンド・ターボと上場する特殊ギア子会社レンクを傘下に持つためだで、VWTBのアンドレアス・レンシュラー社長は16日の記者会見で解決策を模索すると語った。

1週間以内に独2社でトップ交代

ドイツでは最大手銀行のドイツ銀行でも頭取が実質解任に形で8日に交代しており、わずか1週間以内に同国を代表する企業2社でトップの首がすげ替えられた。両社の措置は改革の「スピード」と「実行力」をキーワードとする点で共通しており、時代が大きく変化するなかで企業を勝ち組へと導く卓越した指導力がこれまで以上に求められるようになっているようだ。