件数、負債総額ともに増 151件344億円、人手不足深刻 17年度四国 /香川 – 毎日新聞


 東京商工リサーチ高松支社は、四国4県で2017年度に1000万円以上の負債を抱えて発生した倒産について、16年度より19件多い151件に上ったと発表した。負債総額も66億5200万円多い344億8800万円。16年度が1989年度以降で過去最低の状況だったため、件数、負債総額ともに増えたが、過去2番目の少なさだった。

 県別の件数と負債総額は、香川38件100億9300万円(前年度35件51億5000万円)▽愛媛42件114億6000万円(同40件118億7500万円)▽高知32件60億6300万円(同32件70億900万円)▽徳島39件68億7200万円(同25件38億200万円)。

 原因別では、販売不振が85件(56・3%)とトップで、負債総額も179億3600万円(52%)を占めた。倒産に至った形態では、破産(117件)や特別精算(8件)といった法的倒産が126件(83・4%)だったのに対し、銀行取引停止(24件)といった私的倒産が25件(16・6%)だった。再建を目指して民事再生法適用を受けたのは1件にとどまった。

 産業別では、人手不足の深刻化に伴いサービス業などが30件(16年度18件)と急増したが、負債総額は57億8100万円(同66億3200万円)とむしろ減少した。負債額の小さな倒産が増えている模様で、人手不足が中小企業の経営により重くのしかかっている様子がうかがえる。【植松晃一】


昨年度旅客数、初の300万人超 搭乗率最高79% スカイマークがけん引 /兵庫 – 毎日新聞

2017年度の旅客数が過去最高になった神戸空港=神戸市中央区で、目野創撮影



 神戸市が発表した神戸空港(神戸市中央区)の利用状況によると、2017年度の旅客数(定期便の乗降客数)は前年度比12・7%増の307万1974人で、年度別では開港以来初めて300万人の大台を超えた。どれだけ座席が埋まったかを示す「搭乗率」も79・4%と、過去最高だった前年度の77・4%を2ポイント更新。近年の神戸空港の好調ぶりを裏付けた。【目野創】

 神戸空港の開港は06年2月。出足は好調で、07年度の旅客数は従来の最高記録に当たる297万2212人にのぼった。その後は景気悪化や飛行機の小型化の流れの中で苦境に立たされ、10年度には221万5092人にまで落ち込んだ。

 15年には、神戸空港の発着枠(1日30往復)の7割を占めるスカイマークが経営破綻。しかし、16年3月で民事再生手続きを終えたスカイマークの業績回復と歩調を合わせるように、神戸空港の利用者も増加。16年度は272万4612人と、開業翌年度(06年度)の273万8143人に肉薄するまでに復調していた。

神戸空港の年度旅客数

 旅客数を路線別に見ると、最多は羽田の110万8171人(前年度比2・5%増)。2位以下は、那覇54万4518人(21・1%増)▽新千歳53万4342人(5・0%増)▽長崎32万4351人(18・7%増)▽鹿児島20万4773人(4・4%増)▽茨城20万4478人(5・0%減)▽仙台15万1341人--の順で、ほとんどの路線が前年度から増加していた。

 航空会社別では、スカイマークが227万9666人と前年度を14・7%上回り、他の就航3社も軒並み増加していた。

 神戸空港の好調理由について、神戸市の担当部署は「航空需要の拡大や、好調なスカイマークにけん引された」と分析している。

 神戸空港はこれまで神戸市によって運営されてきたが、今月1日に民営化された。新たな運営主体である「関西エアポート神戸」は、関西国際と大阪(伊丹)の両空港を運営する「関西エアポート」の完全子会社。今後は3空港の一元運営によって、より利便性が増すと期待されている。関西エアポート神戸は今年度313万人、22年度327万人の旅客数を目標に掲げ、神戸空港に対して18~22年度に計39億円の投資を計画している。

〔神戸版〕


【為替本日の注目点】米長期金利再び2.91%台に上昇 – サーチナ

 ドル円は小動きながらも米長期金利の上昇を手掛かりに107円50銭まで上昇。ただこの水準では高値警戒感などからドル売りも増え反落。ユーロドルは1.23台で推移。上値も切り下がり、下値も切り上がってきていることで、日足では「三角保ち合い」を形成中。

 株式市場は続落。決算不振銘柄などを中心にダウは83ドル下落。長期金利の上昇が株価を押し下げた面もあり、他の主要指数も揃ってマイナスに。債券は続落し、長期金利は2.91%台まで上昇。原油価格の上昇なども債券売りにつながったとの指摘も。金は反落。上昇を続けている原油価格は3日ぶりに小幅反落。

新規失業保険申請件数       → 23.2万件

3月景気先行指標総合指数     → +0.3%

4月フィラデルフィア連銀景況指数 → 23.2

 

ドル/円   107.25 ~ 107.50

ユーロ/ドル 1.2329 ~ 1.2385

ユーロ/円  132.35 ~ 132.96

NYダウ   -83.18 → 24,664.89ドル

GOLD   -4.70  → 1,348.80ドル

WTI    -0.18  → 68.29ドル

米10年国債 +0.037 → 2.910%

本日の注目イベント

日  3月消費者物価指数

独  独3月生産者物価指数

欧  ユーロ圏4月消費者信頼感(速報値)

米  G20(ワシントン)

米  エバンス・シカゴ連銀総裁講演

米  企業決算 → P&G、GE

加  カナダ2月小売売上高

加  カナダ3月消費者物価指数

 日米首脳会談が終わり、日本側としては「ほっと」一息ついているところです。懸念されたトランプ大統領からの厳しい要求もなく、為替問題への言及もありませんでした。「われわれの絆がこれほどまで強固だったことはない」と、トランプ大統領は日米の蜜月ぶりを強調し、安倍首相も「あなたの偉大な指導力に心から敬意を表する」と大統領を褒め称えていました。日本側から見れば今回の会談は「成功だった」と言えると思いますが、それでは米国側から見れば「失敗だった」のかと言えば、そうでもないと思います。そこには深慮遠謀があるように思えます。

 今回の会談では日本の貿易赤字に対する具体的な削減や制裁などはありませんでしたが、日米で新たな貿易協議の場を設置することで合意しました。また日本がTPPの良さを強調したのに対し、米国はFTAで日米の通商問題を話し合いたいとし、平行線をたどりました。トランプ大統領は今回の会談では日本側の拉致問題解決などにも理解を示し、米国にとって日本は特別だとの演出をしましたが、これがトランプ流の外交政策との指摘もあり、このまま蜜月が続く保証はありません。

 ドル円は昨日の東京時間に共同声明を受けて上昇し、107円50銭前後までドル高が進み、NY市場でも同じ水準を試しましたが、抜け切れていません。先週末には一旦この水準を抜け、107円78銭まで上昇はしましたが、再び107円台半ばが壁になりつつあります。今週はほぼ107円台で推移し、ドルの底値を固めつつあるように見えますが、まだここから上昇するには材料が必要なようです。北朝鮮リスクや米中貿易問題、日米首脳会談と、次々と円高リスクが後退していることが、ドル堅調の要因になっていますが、今後は「森友問題」や財務省などの不祥事で支持率が急落している安倍政権の建て直しも急務の一つです。1週間後に迫った南北首脳会談や、早ければ5月下旬にも開催されそうな米朝首脳会談を通じて、拉致問題が急転直下解決に向けて動き出すようなら安倍政権にとっても起死回生の「逆転ホームラン」ということになりますが、米朝会談は取りやめになる可能性もあり、まだ見通しはたちません。

 日米首脳会談も終わり、これで市場は材料不足ということになりそうです。引き続き大統領周辺でロシア疑惑問題がくすぶってはいますが、現時点では材料になりにくい状況です。107円台半ばを抜け108円に向かうのか、もうしばらくは状況を見守るしかありません。

 本日のレンジは107円~107円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)

NY株続落、83ドル安 アップル業績に懸念 – SankeiBiz

 19日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均はIT大手アップルの業績に対する懸念などを背景に続落し、前日比83・18ドル安の2万4664・89ドルで取引を終えた。ハイテク株主体のナスダック総合指数は57・18ポイント安の7238・06。

 投資家はアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売不振を警戒。またスマホ向け半導体の需要減に対する懸念からインテルも値下がりし、ハイテク株が相場全体の下げを主導した。

 たばこのフィリップ・モリス・インターナショナルが19日発表した2018年1~3月期決算で、加熱式たばこ「アイコス」の日本での販売が市場予想よりも伸びなかったなどとしてフィリップ・モリスが売り込まれ、消費関連の銘柄全体の重しとなった。(共同)

フィリップ・モリスの株価急落、アイコスの日本での販売不振で – 日本経済新聞

 【ニューヨーク=平野麻理子】米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルの株価が19日、前日比16%安と暴落した。同日発表した2018年1~3月期決算で売上高が前年同期比14%増えたが、事前の市場予想を下回った。加熱式たばこ「アイコス」の日本での販売が鈍化したのが主因。紙巻きたばこからのシフト戦略の難航が確認され、投資家に嫌気された。

 1~3月期の売上高は前年同期比14%増の68億9600万ドル(約7400億円)、純利益は2%減の15億5600万ドルだった。19日の株価の下落幅は過去10年で最大。時価総額にして、約250億ドルを1日で失った。

 紙巻きと加熱式をあわせたたばこの出荷量は前年同期比2.3%減の1738億本だった。健康志向の高まりで世界的に紙巻きたばこ離れが広がり、有害物質が軽減できるという加熱式にかかる期待は大きい。1~3月期はその加熱式の伸びが有力市場の日本などで鈍化し、紙巻きの落ち込みを補えなかった。

 マーティン・キング最高財務責任者(CFO)は19日のアナリスト向け決算説明会で、「日本での加熱式たばこ機器の売り上げは我々の野望的な予想に届かなかった」と述べた。特に日本の喫煙者の約4割を占める50歳以上の保守的な世代に、加熱式の受け入れが広がっていないという。

 日本は加熱式たばこでは先進市場とされる。今回日本での伸び悩みが確認されたことで、投資家の間では加熱式たばこ市場の将来性に対する疑念が高まった。

フィリップ・モリス株急落 アイコス日本販売不振で – 日本経済新聞

 【ニューヨーク=平野麻理子】米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルの株価が19日、前日比16%安と暴落した。同日発表した2018年1~3月期決算で売上高が前年同期比14%増えたが、事前の市場予想を下回った。加熱式たばこ「アイコス」の日本での販売が鈍化したのが主因。紙巻きたばこからのシフト戦略の難航が確認され、投資家に嫌気された。

 1~3月期の売上高は前年同期比14%増の68億9600万ドル(約7400億円)、純利益は2%減の15億5600万ドルだった。19日の株価の下落幅は過去10年で最大。時価総額にして、約250億ドルを1日で失った。

 紙巻きと加熱式をあわせたたばこの出荷量は前年同期比2.3%減の1738億本だった。健康志向の高まりで世界的に紙巻きたばこ離れが広がり、有害物質が軽減できるという加熱式にかかる期待は大きい。1~3月期はその加熱式の伸びが有力市場の日本などで鈍化し、紙巻きの落ち込みを補えなかった。

 マーティン・キング最高財務責任者(CFO)は19日のアナリスト向け決算説明会で、「日本での加熱式たばこ機器の売り上げは我々の野望的な予想に届かなかった」と述べた。特に日本の喫煙者の約4割を占める50歳以上の保守的な世代に、加熱式の受け入れが広がっていないという。

 日本は加熱式たばこでは先進市場とされる。今回日本での伸び悩みが確認されたことで、投資家の間では加熱式たばこ市場の将来性に対する疑念が高まった。

倒産寸前の町工場、グローバル企業に変身! – 日経ビジネスオンライン

起死回生を図りタイに進出し、快進撃を続ける平岡産業。かつての小さな町工場はグローバルに事業を展開する企業に成長した。

 「このまま日本にいてはつぶれるのを待つだけだ。ここはチャンスに賭けてみるか」

 青梅にある倒産寸前の小さな町工場がタイに進出し、みるみる事業を拡大してインドやメキシコにも拠点を構える売上高67億円の企業へと変貌を遂げた。鮮やかなジャパニーズドリームを実現したのは、金属切削部品加工メーカーの平岡産業だ。

 同社がタイに進出したのは1995年。五代目である社長の平岡泰浩氏は振り返る。

 「弊社は1907年に織物業として創業しました。戦前までは調子がよかったようですが、その後は赤字続き。1972年に金属加工業に転業してからも、後発ですから明るい話はほとんどなかった。よくテレビで町工場の社長が自殺とかいうドラマをやっているでしょう。映像を見ると、うちと同じ機械が置いてあって他人事とは思えない。製造業の底辺であえいでいました。そんなときに取引先の商社から『タイに出てみないか』と声がかかったんです」

 現状のままでは未来がない。海外への進出などまったく頭になかったが、「1週間で答えを出してほしい」という商社のオファーを受けて、先代社長は下見のためにタイに渡り、腹をくくった。

 とはいえ、当時の自己資本比率はわずか14%。資金的な余裕はまったくない。銀行に頭を下げて1億5000万円を融資してもらい、商社も同額を出資して、E&H Precision(Thailand)Co., Ltd.(以下E&Hタイ)を設立。25台の機械をリースし、日本人駐在員4人、現地社員20人で新天地での挑戦が始まった。

タイで先行者利益を得る

 起死回生をかけた選択は見事に当たった。

 いまでこそ金属切削を手がける部品加工業者はタイにひしめきあっているが、当時、E&Hタイの同業者はほぼゼロ。営業をかけなくても注文が飛び込み、タイに進出しているカーステレオメーカーからの受注はE&Hタイが一手に引き受ける形となった。やがて二輪車用のキャブレターの依頼も増えていく。業績は右肩上がりを続けた。

平岡産業の五代目社長。平岡泰浩氏。日々「一所懸命」を社員に説く。

 「先行者利益が大きかった」。平岡氏の実感は、後にインドやメキシコでの事業にも活かされることになる。

 2000年代に入ると大きな転機が訪れた。

 「デンソーの購買担当者から『これからのタイは自動車の時代だ。君の会社も真剣に取り組んだほうがいいよ』と言われたんです。ずっと経営はカーステレオ一本足でしたし、ほかの軸足も必要だと考えていた。チャンスだと思い、そちらに大きく舵を切りました」

スマートデイズの赤間代表、「関連会社は休眠に」(東京商工リサーチ)

 4月18日、東京地裁から民事再生手続きの棄却を受けた(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、東京都中央区)の赤間健太代表は19日午後、東京商工リサーチ(TSR)の取材に応じ、「(関連会社の)ステップライフとシェアハウス東京は、保全管理人の判断になるが、破産する理由がないので休眠になると思う」と述べた。
 民事再生棄却後、赤間代表が公の場に姿を現すのは初めて。

 19日17時30分より、スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団の紀藤正樹弁護士(リンク総合法律事務所)と弁護団にオブザーバー参加する加藤博太郎弁護士(わたなべ会計法律事務所)ら6名と、スマートデイズの赤間代表と菅澤聡前社長は、都内で協議した。
 出席者によると、南弁護士のほか柴原多弁護士(西村あさひ法律事務所)らも協議に出席したという。
 18時50分、協議を終えた紀藤弁護士はTSRの取材に応じ、「被害弁護団が把握しているスマートデイズの資金の流れとスマートデイズ側の認識をすり合わせた。スルガ銀行との対峙に備えての行動だ」と述べた。
 19時20分、赤間社長と菅澤前社長も取材に応じ、「(関連会社の)ステップライフとシェアハウス東京は、保全管理人の判断になるが、破産する理由がないので休眠になると思う」(赤間社長)との見解を示した。両社とも金融債務はないという。
 スマートデイズが東京地裁へ提出した「民事再生手続開始申立書」によると、スマートデイズの資本金は11億20万円で、筆頭株主のオーシャナイズは議決権の75%を有している。これとは別にオーシャナイズは、少なくとも10億円をスマートデイズに資本準備金として出資している。このため、スマートデイズの経営破たんがオーシャナイズの資金繰りや財務への影響を心配する声が一部であがっている。
 この点について赤間代表は「ここはどういう風に動いていくかというのは色々相談している最中」と述べた。

※文中の企業の詳細は以下の通り。
・ステップライフ=(株)ステップライフ(TSR企業コード:022350837、東京都中央区、菅澤聡社長)
・(株)シェアハウス東京(東京都中央区、大地則幸社長)
・オーシャナイズ=(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656、東京都港区、菅澤聡社長)

東京商工リサーチ

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台湾の倒産したレストランが批判「民進党が倒れないと経済が…|レコード … – Record China

2018年4月19日、人民網は、台湾の高雄市のレストランが倒産に際して(与党の)民進党を批判する看板を掲げたと伝えた。

記事によると、高雄市でレストランを経営していた鄭東元(ジェン・ドンユエン)さんは、最近店をたたむことを決断した。鄭さんは「民進党が倒れないと経済が良くならない」との標語を記した看板を店の前にかけた。

鄭さんは、「民進党は高雄市で長く政権を担っているが、高雄の景気は悪くなるばかりで、心苦しいが店をたたむことにした。この不満を自費で作成した看板で表現した。民進党はもうほかの党に代わるべきだ」と述べたという。

記事によると、鄭さんは市の経済政策に不満を漏らし、「高雄市は若者や高級品市場を引き留めることができず、能力のある人はみんな出て行ってしまった。この街の経済には重要な問題がある。でも民進党は庶民の経済や企業・投資の誘致には関心を向けていない」と主張しているという。

鄭さんは「民進党が倒れないと経済は良くならない。多くの国際的なブランドが台北や台中への進出を検討しているが、高雄には来ない。高雄の経済と消費力が評価されていないからだ。高雄の経済問題は深刻。これまでもいろいろな店が倒産したし、今後も続くだろう」と述べているという。(翻訳・編集/山中)

ソレル:広告界に残した大きな足跡と、その将来 – Campaign Japan

世界で最も権勢を誇る広告代理店のCEOの突然の辞任は、ある種の人々にとって朗報だろう。ソレル卿は賛否両論の多い人物で、広告を「商品化」し、クリエイティビティーを退化させたと考える向きは少なくない。

その他の人々にとっては、彼の辞任は不吉な変化の始まりを意味する。すなわち持ち株会社が分裂し、広告ビジネスが内向きかつ非グローバル化していく予兆であり、ビジネスリーダーたちに業界の価値をアピールできる、信用ある代弁者を失うことだ。

いずれにせよ、1つ明確なことがある。ソレル卿のビジョンが、今の世界の広告ビジネスの形態を作り上げたということだ。以下、彼がこれまで広告界に残した功績と「ソレルなき後」の将来を総括する。

ソレル卿とWPPは実質上、「一心同体」

スティーブ・ジョブズとアップルがそうであったように、ソレル卿とWPPは一心同体だった。近年の業績不振が実質的に彼を辞任に追いやったようにも見えるが、WPPはそれによって更に大きな打撃を被った。ソレル卿の辞任が発表された後、同社の市場価値は10億米ドル(約1080億円)下落。後継者が誰であろうと彼のような影響力と存在感を発揮できるとは思えず、WPPの将来に暗い大きな影を落とす。

ソレル卿は、真に大局的な考えの持ち主

彼は典型的な広告マンではなかった。1985年にWPPをスタートさせたとき、業界は彼のことを「侵略者」と見なした。現在のコンサルティング会社に対する認識とほぼ同じだ。1989年にオグルヴィを買収した際、デイヴィッド・オグルヴィが彼のことを「鼻持ちならない糞ガキ」と評した話はよく知られている。

毎年恒例のダボス会議の常連だったソレル卿は、広告界にとどまらず世界経済の動向を的確に予測できる希少な存在だった。広告界の他のリーダーたちがビジネスと経済への洞察を欠くなか、彼の見解は広く信望を醸成。またWPPの体制を整え、広告を投資対象のビジネスに変えた。クリエイティビティーやその意図は重んじなかったが、クライアントのビジネスに広告(及び、他のコミュニケーション手段)がいかに効力があるか、証明することに腐心。そういう意味で広告界のクリエイティブに携わる人々は、彼らが考える以上にソレル卿から恩恵を受けていると言っていい。

1つの国や都市に根差していなかった彼は、世界中に同じ尺度の「WPPモデル」を適用しようとした。簡単に言えば、広告界で彼ほどグローバルな視野を持った者はいなかったし、世界の出来事への卓見で業界を超えて評価を受けた者はいなかった。広告代理店がかつてないほどの難局に直面している今、業界に直言できる人物がいなくなったのだ。

アジア広告界、最大のサポーター

ソレル卿は他のライバルたちに先駆けて、急速に成長するアジア市場でのビジネスチャンスを察知し、活用した。彼の初期の実績で重要なものの多くは、アジアで成し遂げられている(下記のWPPの軌跡をご覧ください)。

「マーティンはどの持ち株会社のリーダーよりもアジアを重視し、その成長に寄与しました」と話すのは、コンサルティング会社R3のグレッグ・ポール社長。同氏はWPPがアジアで成功した主要因として、中国とインドに早い時期から投資を始めたことを挙げる。細部まで管理を徹底するソレル卿はしばしばアジアを訪れ、この地域とその「楽観性」に純粋に好意を抱いていた。

彼は2011年、Campaignのインタビューで次のように語っている。「私はアジアに来るのが好きなのです。人々がしかめ面ではなく、微笑んでいる地域に来るのは本当に素晴らしいことです」。

WPPに長らく勤めた元社員のニール・ドルウィット氏はこう語る。「ソレル卿がアジア太平洋地域に深く関与したことで、WPP傘下のエージェンシーのプレゼンスはこの地域で非常に大きい。例え持ち株会社がなくなったとしても、他社がこれらの企業と競合するのは難しいでしょう」

WPPが崩壊すれば、他の持ち株会社も危機に

彼は辞任前、CampaignにWPPを再編する意向を語っていた。基本的に傘下のエージェンシーを全て統合し、出来る限りシンプルに仕事を進められる構図を作ろうとしていた。その理由として、「クライアントはエージェンシーのブランドには興味がない」ことを挙げた。

今となってはこのプランが実現するかどうか分からないが、アナリストは「持ち株会社の傘下に全企業を収める構造は解体した方がいい」と提言する。ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)でアジア太平洋地域のCEOを務めたトム・ドクトロフ氏は、ソレル卿のプランは「投資家やクライアントが、持ち株会社にはブランドを成長させる能力がもうないと見限ったことの証し」という。

更に同氏は、「持ち株会社は明確な価値の提案ができなくなった」と語る。「WPPは既に、それぞれの小さな目標を掲げる何百という企業のP&L(損益計算書)の集積所でしかないのです」。現代の広告界の持ち株グループがWPPモデルをひな形にしていることを考えると、「業界全体が存亡の危機に直面している」。

「成長を促すという明確な目標を持ったシステムに根本から作り直すか、さもなければハイエナのような投資家たちにバラバラにされてしまうかのどちらかでしょう」

この意見を大げさと捉える向きもあろうが、「解体」自体は悪いことではないだろう。一度解体された企業が成長を遂げた例は、他分野では少なくない。ヘッジファンドは既に大手代理店株の大規模な空売りを始めた。グーグルとフェイスブックの複占状態が強まり、アマゾンの潜在的脅威が差し迫る中、代理店は長く生き残るために何らかの変革が不可欠だ。WPPの動向は、他社にとって今後進むべき指針となるだろう。

ソレル卿は「終わった」わけではない

多くの人々は、ソレル卿が死ぬまでWPPを主導していくと考えていた。彼が今後、新しい持ち株会社を始めるようなことはないだろう。だが同様に、彼ほど精力的な人物が簡単に引退するとも思えない。考えられるシナリオは投資家や会社役員、メディアのコメンテーターなどに転じることだが、広告界以外の大手企業のトップになることも十分にあり得るだろう。

アジアで影響力を誇るWPP 1985年からの軌跡

1985年:マーティン・ソレル氏がワイヤー製バスケットの製造メーカー「ワイヤー&プラスチック・  プロダクツ」社を67.6万米ドルで買収し、経営権を取得
1987年:WPP、ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)に敵対的買収を仕掛けて5.66億ドルで買    収、広告界に進出
1989年:NASDAQ上場の翌年にオグルヴィ・グループを8.64億ドルで買収
1989年: 日本のバブル景気のピーク時に、JWTの都内の資産を2.05億ドルで売却
1989年:中国で初となるWPP取締役会を、広州の珠江国际酒店(パールリバー・ホテル)で開催
1997年:マインドシェア(香港)設立;ベイティー・アド(Batey Ads)の資本を37%取得
1998年:広告国内3位、アサツー ディ・ケイ(ADK)の資本の20%を出資
2000年:ヤング&ルビカム・グループを46億ドルで買収
2003年:コーディアント(Cordiant)を買収;ベイツ(Bates)がアジアに特化したエージェンシー    「ベイツ141」として再出発
2003年:グループエム(GroupM) 設立;オムニコムとのコンペでHSBCをクライアントとして獲得
2005年:グレイ・グローバル・グループを買収
2006年:中信国安(Citic Guoan)、グレイならびにWPPとの14年間にわたる提携を解消
2008年:アジェンダ(Agenda)を買収、ワンダーマン(Wunderman)のアジアでの事業が40%拡大
2011年:オムニコムを抜いて世界最大のマーケティンググループに
2012年:AKQAを買収
2015年:グループエム、エッセンスを買収
2017年:WPP傘下のMECと マクサス(Maxus)が合併し、ウェーブメーカー(Wavemaker)が設立
2017年:WPPがベインキャピタルとの激しい応酬の末、ADK株の売却で合意
2018年:WPP 傘下のコーン&ウルフ(Cohn & Wolfe)とバーソン・マーステラ (Burson-Marsteller)が合併

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉、田崎亮子)