【市況】中村潤一の相場スクランブル 「バブル初動!『新インバウンド関連』大相場へ」 – 株探ニュース

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

 米国株主導の世界株高。日本もその恩恵を享受しながら日経平均株価は年初に記録的な上昇をみせ、その後も浅い押し目を入れながら上値を指向し、気がつけば2万4000円台を目前に捉えています。今の相場の強さを印象づける言葉に“インフレ期待”があります。例えば、これまでは原油高や人件費の上昇などで相場が弱含めば“インフレ懸念”という言葉がメディア上に踊っていました。しかし、今はインフレモードを味方にする雰囲気が株式市場を取り巻いているのです。

●外国人投資家の世界と個人投資家の世界

 今年は米国に続いて欧州も超金融緩和政策からの出口戦略に動き、世界的な過剰流動性に明らかな変化が出る年になりますが、それを承知のうえで金融相場と業績相場のダブルエンジンが株高を強力に後押ししている状況にあります。1月第1週はわずか2日間しかなかったにも関わらず外国人投資家は現物で4851億円、先物で2025億円の買いを入れてきました。これは、今年前半の相場の方向性を決定づけるようなインパクトがありました。

 日経平均の強さもさることながら、個別株のボラティリティも高い相場です。東証1部市場では日々当たり前のように複数のストップ高銘柄が出ている状況で、昨年来、徹底的に現物売り越しを続けている個人投資家も、短期では存分に買いの回転を利かしていることが窺われます。基本的に個人は逆張りスタンスであり、現物で買い越しに転じる場面はなかなか訪れそうにありませんが、裏返せば個人が保有株を売り続けるなかで、今はまだバブルを懸念する局面には遠いということです。

●NaITOの上ヒゲ形成後の相場が示すもの

 銘柄にはそれぞれ特性があり、短期急騰型は中長期投資には向かないと考えられがちですが、決してそんなことはありません。短期で値幅が取れそうに思える銘柄は、その時点で投資対象として魅力に満ちているからこそ食指が動くわけで、長い目でみても強いチャートを形成するケースは少なくないようです。当該企業のファンダメンタルズを著しく向上させるような材料が出現した場合は別として、通常、急上昇すればその反動が出るのは必然ですが、急騰後に萎むいわゆる上ヒゲ銘柄は、中期上昇波の入り口を示唆していることもあります。

 例えばNaITO <7624> [JQ]は11月29日アップの当コーナー「需給エンジン全開の“奔騰株攻略”作戦」において筆頭で取り上げ翌30日に急動意、この時はザラ場288円の高値をつけ長い上ヒゲ陰線で引ける味の悪い形となりましたが、その後200円台前半で売り物をこなし再点火、年明け早々の1月5日には414円の高値をつけました。29日の寄り値は208円でしたから、そこから約2倍となった計算になります。週明け1月15日に急騰株の税金ともいうべき増担保規制がかかり、目先的には売買自由度が失われています。時価予想PERは35倍前後まで上昇し、さすがにここから一段の大化けは難しいとみますが、11月末を境に相場にうねりが生じていることは事実であり、下値切り上げ波動が崩れない限り押し目買い対象として注目は怠れません。

 一方、当コーナーで自信をもって取り上げたつもりが、想定したチャートのイメージから軌道が外れてしまった銘柄もあります。それは「2017年の“大トリ爆進株”を探せ」で紹介したスペースシャワーネットワーク <4838> [JQ]で、12月13日にアップしたものの買いが続かず、15日に高値をつけ反落というパターンとなり、調整局面を余儀なくされてしまいました。しかし、Sシャワーは値動きにはクセがありますが、将来的な視点に立てばキャパシティーが感じられる銘柄であることに変わりありません。年が改まると同時に動きにも変化がみられ、再度上値チャレンジが見込めそうな気配が漂います。

●始まった「インバウンド×不動産」大相場

 今の相場における最も旬なテーマを挙げるとするなら「新インバウンド」。ひとことで定義すれば、インバウンド関連の範疇にあっても、これまでとは違った切り口を持つもので、具体的にはモノではなく“地面”に絡む銘柄群ではないかと考えています。安倍政権が第一義とする「デフレ脱却」のテーマに、実体経済に先駆して期待に応えているのは紛れもなく株式市場。このアベノミクス相場の恩恵を享受する形で、不動産市場も脱デフレの急先鋒として追随する兆候をみせている点に注目したいところです。

 東京・銀座4丁目交差点と言えば、路線価格日本一の鳩居堂前が有名ですが、この地が2017年に1平方メートル当たり4000万円を超え(坪換算では約1億3000万円)、過去最高だったバブル直後の1992年当時の価格を上回ったことが話題となりました。

 これは、世界のファンド系資金がグローバル規模で不動産市場に流れ込む現状がバックヤードにあり、いわば局地的なバブル現象。かつての土地バブルとは違い参加するプレーヤーが一部の富裕層のみであることから、超金融緩和環境をステージとした波及効果のないマネーゲームの断片図に過ぎない、と冷めた目で見られていました。ところが、今は安倍首相肝いりで推進している「観光立国日本」の看板が、地方景気においてもインバウンド需要を誘致する格好となり、当然ながら不動産にも少なからぬ影響を与える可能性が高まっています。株式市場の体感温度はまだ低いとはいえ、日本列島全体がバブル初動に入ろうとしている、そんな感じがします。

●訪日外国人は増加の一途で影響力絶大

 東証REIT指数は年初から下げ知らず。きょう(17日)も調整モードの日経平均株価を横目に上値を追い1730.98まで買われ、これで大発会から数えて9営業日連続の上昇となっています。アベノミクス相場のスタート時にも金融・不動産といった内需の脱デフレで見直されるセクターに投資資金が向かった経緯がありましたが、インバウンドと不動産の相性も良く、その時の相場の高揚感が再び蘇りつつあります。

 インバウンドといえば流行語大賞にもなった“爆買い”がキーワードでしたが、これはある種のお祭りで長くは続かず、その後はこの時の反動が関連銘柄の業績と株価に大きな試練となりました。しかしながら、訪日客数自体は全く衰えをみせておらず、株式市場にも改めてポジティブな影響を及ぼしてくると思われます。17年の訪日外国人客数は2869万人で前年比約2割の増加となり、訪日外国人旅行消費額は前年比18%増の4兆4000億円強と年間の過去最高額を大幅に更新しています。祭りのような賑やかさはなくても絶大な影響力を日本経済に与え続けているのです。では、モノ消費からコト消費への流れを背景に、ゲームチェンジャーとして新たに浮上してくるのは果たしてどういった銘柄でしょうか。

【訪日客ニーズを正面で受けとめるグローバル社】

 首都圏を中心にマンション開発や戸建て事業を手掛けるTHEグローバル社 <3271> は要注目です。18年6月期は戸建て販売が牽引する格好で営業利益は前期比7割増予想と好調。19年6月期も2ケタ伸長が見込まれ、この成長スピードにしてPER7倍台は割安感が光ります。ホテルは外国人に人気の京都の中心部に積極展開し訪日客需要を取り込むほか、東京では羽田空港を意識して蒲田にホテル事業用地を取得し、特需に備えています。京都では日本の様式を前面に押し出し魅力をアピール、インバウンドの受け皿とする構えで業績成長トレンドが再度加速しそうです。

【インバウンド婚で変身期待のエスクリ】

 また、ブライダル事業を企画・運営するエスクリ <2196> は、海外から日本に来て結婚式を挙げるいわゆる“インバウンド婚”需要を取り込んで成長局面入り。全国の都市部を中心にホテルやゲストハウスなどを積極展開しています。件数の増加に加えて単価も下げ止まっており、脱デフレの流れのなかで株価も大きく見直されることになりそうです。株価は修正後株価で15年4月につけた上場来高値1465円が当面のターゲットとなるでしょう。ここをクリアすれば青空圏が広がります。

【ストライダーズは事業転換で上昇新波動へ】

 ストライダーズ <9816> [JQ]も中期視野で大幅な水準訂正が期待されます。同社はネットセキュリティーなどIT関連商社でしたが、不動産賃貸やホテル事業に経営の重心をシフトしそれが功を奏しています。直近人気化したルーデン・ホールディングス <1400> [JQG]の連想も働くところで、大出直り相場の素地ありとみています。ホテル事業は成田や倉敷などいずれも訪日外国人を快調に取り込み業績に反映、特に成田ゲートウェイホテルは交通アクセスの優位性を生かし全体の約7割程度が訪日客という状況。株価は昨年末を境に浮上に転じており、時価500円台近辺は大底から切り返す第一歩に過ぎないといえるでしょう。

【グリーンランドは“くまモン”と特需を満喫】

 グリーンランドリゾート <9656> [東証2]は遊園地やホテル、温泉など観光施設を運営、九州が地盤でくまモンとのタイアップで訪日客の取り込みも期待されます。北海道では外国人に人気のスキーリゾートも展開。株価は昨年10月から動意づいていますが、時価PBR0.5倍台は究極のバリュー株といってもよく、上値余地は依然として大きいと思われます。

【ランシステムは日本の独自文化で需要取り込む】

 また、カプセルホテル「コミカプ」と複合カフェ「自遊空間」を展開するランシステム <3326> [JQ]も意外性十分で、昨年12月の急騰から良い形で調整を入れている1000円近辺は狙い目となりそうです。漫画やカプセルホテルは日本が誇るカルチャー。同社は訪日客向けに通訳サービスの導入店舗を既存の6店舗から、直営店全店へ拡大するなど、本腰を入れて需要を確保する方針にあります。

【日駐は全員参加型大相場の素地を内包】

 さらに、時価総額が700億円前後と比較的大きく出来高流動性に富む日本駐車場開発 <2353> は全員参加型材料株の資質を持ち、土地絡みの新インバウンド関連として柱ともなり得る銘柄でしょう。駐車場サブリースを主力としていますが、本業好調なうえ、栃木県那須町のテーマパークが人気。また子会社でスキー場も展開しており、日本でのスキーが訪日客のコト消費の切り札ともいえるだけに、株高に向けた手掛かり材料に事欠きません。15年4月につけた223円の高値を抜いてくればホンモノです。

【コスモスイニシアは脱デフレ経済の試金石】

 このほか、1月9日にアップした株探トップ特集「上昇特急“ニッポン株”、2部&新興『特等席10銘柄』でGO!」で取り上げたコスモスイニシア <8844> [JQ]を改めて挙げておきます。訪日客専用ホテルやアパートメントホテルを続々と開業する計画にあり、新インバウンドというよりは、デフレ脱却を命題とする日本で、その可能性を占う試金石というべき銘柄と考えています。

 コスモスイニシアは旧リクルートコスモスで13年に事業再生ADR債務を完済後、大和ハウス工業 <1925> の傘下に入った経緯がありますが、その後に復活を果たしました。安倍政権下でのデフレ脱却への道程に先んじる形でマンションやホテル開発に大注力しており、これが開花してくるとすれば、長期的にみて天井はとてつもなく高くなる可能性を内包しています。バブル期の1990年7月に6万7000円(修正済み株価)の高値をつけ、2000年代に入ってもリーマン・ショック以前の06年3月に1万1900円の高値をつけています。2月にアパートメントホテル「MIMARU上野NORTH」がオープンしますが、18年中に上野で3棟がオープンする見込み。パンダ関連としての切り口もあり、今年は同社株にとっても潮目が変わる年となりそうです。

(1月17日記、隔週水曜日掲載)

株探ニュース

顧客側、破産申し立てへ ジャパンライフに弁護士ら – 日本経済新聞

 磁気治療器の預託商法を展開したジャパンライフ(東京)が2017年末、2千億円超の負債を抱えて事実上倒産した問題で、顧客の弁護士らが東京地裁に同社の破産を申し立てる方針を固めたことが17日、分かった。

 弁護士は「先物取引被害全国研究会」の大植伸代表幹事ら。申し立ての理由について「このまま事業を継続させれば資産が散逸し、被害拡大が進む恐れがある。破産し、管財人が資産保全することで、被害回復が一部でもできる可能性がある」と説明している。

 愛知県を中心に顧客の相談に乗ってきた「ジャパンライフ被害対策中部弁護団」は20日に大植弁護士らと協議する。全国的な弁護団の結成も計画している。

 中部弁護団によると、破産申し立てには、地裁が負債総額などを考慮して決める予納金が必要で、ジャパンライフの場合は数千万円規模に上るとみられている。大植弁護士は同地裁に協議を申し入れており、国が費用を立て替える「国庫仮支弁」の適用を求める方針。予納金のめどがつき次第、破産を申し立てる。

 ジャパンライフは17年12月、事実上倒産した。負債総額は2400億円超に上る。銀行取引は停止され、同社が持つ各地の不動産は税務署や銀行が差し押さえを進めている。

 しかしジャパンライフの幹部は事実上倒産との報道を「誤報」と否定。同社の代理店が新会社を設立し、顧客への説明会を各地で開催している。「新会社の売上金を顧客がジャパンライフに預けた預託金の返済に充てる」として、顧客に製品購入や販売協力を持ち掛けている。

 消費者庁は、同社が不正確な情報を伝えている疑いがあると問題視。事実関係を正確に説明し、顧客の解約に応じるよう、12日付で行政指導したことを明らかにした。〔共同〕

憶測が渦巻くPROEARTHの破綻 – 東京商工リサーチ

公開日付:2018.01.17


 年の瀬も押し迫った2017年12月26日。建機・トラック販売の(株)PROEARTH (TSR企業コード:363795677、厚木市、松井義仁社長、以下PRO社)が151億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

 設立10年足らずで年商177億円に急成長。ただ、以前から循環取引、融通手形、多重リースなどの噂が絶えなかった。そんな中での国税庁の2億8,000万円の追徴課税や東北での除染工事の収束、大口の不良債権の発生。さらに、取引先への未払いや滞納が明らかになり、金融機関や取引先は撤退していった。

 年が明けた2018年1月11日、PRO社の債権者説明会が開催された。200人を超える債権者がつめかけた会場ではリースに絡む不正取引に質問が集中した。まさに疑惑や噂が白日の下にさらされた瞬間だった。

債権者説明会会場案内

1月11日 PROEARTHの債権者説明会が開催された


 「うちのリース物件はどこにあるのか?」債権者説明会では苛立ちを隠さないリース会社からの質問が相次いだ。

 多くの債権者が独自で調査し、すでに多重リースや海外に無断転売された事実を掴んでいた。これまでPRO社の対応に翻弄された債権者の鬱憤がありありと浮かんでいる。

 松井社長から不正取引の言質をとったと発言する債権者。再生手続きに反対を表明し、「破産すべき」と主張する声も上がった。

 こうした債権者の相次ぐ質問に、申請代理人の中嶋弁護士は、「今後、一社ずつ精査する。透明性を確保して誠実に対応していく」と答えるにとどめた。ただ、「海外への無断転売などを否定するものではない」と、不正行為の存在を暗に認めるかのような発言もあった。

エム・テック(さいたま市)がスポンサーに


 説明会では今後の支援を表明しているゼネコンの(株)エム・テック(TSR企業コード:310340748、さいたま市、向山照愛社長)とPRO社との取引内容についての質問も相次いだ。従来の決算報告を見る限り、両社の取引がほとんどなかったからだ。

 昨夏以降、多くの取引先がPRO社から撤退するなか、両社の取引は拡大していった。

 本来は販売、リース・レンタル事業者であるPRO社と、使う側のエム・テックは債権者と債務者の関係に過ぎない。だが、リース料の1年分をエム・テックが前払いしたほか、エム・テックがリースとは別に建設資材をPRO社に販売したことで、立場が逆転し取引関係が複雑になった。

 債権者説明会にはエム・テックの創業者でオーナーの松野浩史氏も出席した。松野氏によると、同社はPRO社の最大取引先で最大債権者(民事再生申立書では10億5,000万円)だ。エム・テックのリース車両のうち、約3分の1がPRO社の取り扱いという。松野氏は「(東北の)震災復興を進めるためにも(PRO社の)再生に寄与したい」と表明。PRO社の再建に意欲を見せた。

 だが、債権者の間には冷ややかな反応が浮かんでいたようにも感じられた。

再建の可能性は?


 債権者説明会の雰囲気を見る限り、今後の再生手続が一筋縄で進むとは考えにくい。特に、総債権額151億円のうちの69億円を占めるリース債権者(56社)の反応は厳しい。

 ひとつひとつのリース取引で、物件所在を確認しながら、取引を精査する作業は気が遠くなるほど膨大だ。取引の詳細が明らかになったところで、肝心の物件が多重リースに利用されていたり、無断転売されていれば、「再建に協力するしない以前の問題」(リース会社)だ。

 債権者説明会でも、債権者からPRO社側に、「本当に再生できると考えているのか」と詰め寄る質問も出た。当たり前だが物件の所在すら掴めないリース会社の苛立ちは相当なものだ。

関連会社、親密企業への問い合わせが増加


 今後、PRO社倒産の影響が周辺企業に広がることが懸念されている。

 関連会社では、解体工事の(株)Earth(TSR企業コード:363805800、厚木市)、砕石類販売の東北鉱産(株)(TSR企業コード:012645222 、仙台市青葉区)に注目が集まる。

 申請代理人は、「関連会社については法的整理などの委任は受けていない」という。だが、PRO社は、今後はレンタル事業に絞って業容を大幅縮小する意向を示している。何らかの処理に向かう可能性は高い。

 一方、東京商工リサーチにはPRO社の親密先とされる複数の企業の問い合わせも増えている。これらの企業はPRO社の拡大と歩調を合わせるように売上を伸ばしてきた。

 こうした親密先の企業が注目されたのは、PRO社を取り巻く企業との取引実態が見え難く、複雑だからだ。

 
 例えば、PRO社が倒産に至った一因は、(株)日商(仙台市、2017年10月破産)への焦付きだった。だが、そもそも日商の破綻原因は、「9月29日にPRO社から7,000万円の債権回収を受けられる見込みだったが、入金がなかった」(日商の「破産申立書」)とされている。

 どこに債権があって、どこに債務が存在するのか。どちらが債権者で、どちらが債務者なのか。親密企業との複雑な取引はPRO社が倒産した今、大きな疑念を伴う不信感となって業界に渦巻いている。

 事態が解明される過程でPRO社が自ら被った急激な信用収縮の嵐が、今度は周辺企業に伝播する可能性もある。建機レンタル業界で「不正取引」と疑われる不可解な取引の事実がいつ明かされるのか。関係者は「切歯扼腕」の思いで事態を見つめるしかない。

売上高・利益推移

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年1月18日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

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関連情報

米GE、会社分割を検討 経営改革へ株主から圧力 – 朝日新聞

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は16日、会社分割を検討していると明らかにした。業績不振と株価低迷が続いており、株主から抜本的な経営改革への圧力が強まっていた。米国を代表するコングロマリット(複合企業)としての歴史が転機を迎える可能性がある。

 ジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)が電話会見で「事業の可能性を最大化できるベストの形を果敢に追求する」と表明。主要事業を切り分けたうえで、別々の会社として上場させることも選択肢だと明らかにした。傘下の保険事業の内容を見直した結果、2017年10~12月期に62億ドル(約6800億円)の費用計上が必要になることも併せて発表した。

 リーマン・ショックで経営危機に陥ったGEは、金融や家電事業を次々に売却した。それでも、航空・発電向け機械や医療機器、照明、鉄道、エネルギーなど幅広い事業を抱えている。

 業績不振が長引いていることか…

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憶測が渦巻くPROEARTHの破綻(東京商工リサーチ)

 年の瀬も押し迫った2017年12月26日。建機・トラック販売の(株)PROEARTH (TSR企業コード:363795677、厚木市、松井義仁社長、以下PRO社)が151億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
 設立10年足らずで年商177億円に急成長。ただ、以前から循環取引、融通手形、多重リースなどの噂が絶えなかった。そんな中での国税庁の2億8000万円の追徴課税や東北での除染工事の収束、大口の不良債権の発生。さらに、取引先への未払いや滞納が明らかになり、金融機関や取引先は撤退していった。
 年が明けた2018年1月11日、PRO社の債権者説明会が開催された。200人を超える債権者がつめかけた会場ではリースに絡む不正取引に質問が集中した。まさに疑惑や噂が白日の下にさらされた瞬間だった。

 「うちのリース物件はどこにあるのか?」債権者説明会では苛立ちを隠さないリース会社からの質問が相次いだ。
 多くの債権者が独自で調査し、すでに多重リースや海外に無断転売された事実を掴んでいた。これまでPRO社の対応に翻弄された債権者の鬱憤がありありと浮かんでいる。
 松井社長から不正取引の言質をとったと発言する債権者。再生手続きに反対を表明し、「破産すべき」と主張する声も上がった。
 こうした債権者の相次ぐ質問に、申請代理人の中嶋弁護士は、「今後、一社ずつ精査する。透明性を確保して誠実に対応していく」と答えるにとどめた。ただ、「海外への無断転売などを否定するものではない」と、不正行為の存在を暗に認めるかのような発言もあった。

◇エム・テック(さいたま市)がスポンサーに
 説明会では今後の支援を表明しているゼネコンの(株)エム・テック(TSR企業コード:310340748、さいたま市、向山照愛社長)とPRO社との取引内容についての質問も相次いだ。従来の決算報告を見る限り、両社の取引がほとんどなかったからだ。
 昨夏以降、多くの取引先がPRO社から撤退するなか、両社の取引は拡大していった。
 本来は販売、リース・レンタル事業者であるPRO社と、使う側のエム・テックは債権者と債務者の関係に過ぎない。だが、リース料の1年分をエム・テックが前払いしたほか、エム・テックがリースとは別に建設資材をPRO社に販売したことで、立場が逆転し取引関係が複雑になった。
 債権者説明会にはエム・テックの創業者でオーナーの松野浩史氏も出席した。松野氏によると、同社はPRO社の最大取引先で最大債権者(民事再生申立書では10億5000万円)だ。エム・テックのリース車両のうち、約3分の1がPRO社の取り扱いという。松野氏は「(東北の)震災復興を進めるためにも(PRO社の)再生に寄与したい」と表明。PRO社の再建に意欲を見せた。
 だが、債権者の間には冷ややかな反応が浮かんでいたようにも感じられた。

◇再建の可能性は?
 債権者説明会の雰囲気を見る限り、今後の再生手続が一筋縄で進むとは考えにくい。特に、総債権額151億円のうちの69億円を占めるリース債権者(56社)の反応は厳しい。
 ひとつひとつのリース取引で、物件所在を確認しながら、取引を精査する作業は気が遠くなるほど膨大だ。取引の詳細が明らかになったところで、肝心の物件が多重リースに利用されていたり、無断転売されていれば、「再建に協力するしない以前の問題」(リース会社)だ。
 債権者説明会でも、債権者からPRO社側に、「本当に再生できると考えているのか」と詰め寄る質問も出た。当たり前だが物件の所在すら掴めないリース会社の苛立ちは相当なものだ。

◇関連会社、親密企業への問い合わせが増加
 今後、PRO社倒産の影響が周辺企業に広がることが懸念されている。
 関連会社では、解体工事の(株)Earth(TSR企業コード:363805800、厚木市)、砕石類販売の東北鉱産(株)(TSR企業コード:012645222 、仙台市青葉区)に注目が集まる。
 申請代理人は、「関連会社については法的整理などの委任は受けていない」という。だが、PRO社は、今後はレンタル事業に絞って業容を大幅縮小する意向を示している。何らかの処理に向かう可能性は高い。
 一方、東京商工リサーチにはPRO社の親密先とされる複数の企業の問い合わせも増えている。これらの企業はPRO社の拡大と歩調を合わせるように売上を伸ばしてきた。
 こうした親密先の企業が注目されたのは、PRO社を取り巻く企業との取引実態が見え難く、複雑だからだ。 
 例えば、PRO社が倒産に至った一因は、(株)日商(仙台市、2017年10月破産)への焦付きだった。だが、そもそも日商の破綻原因は、「9月29日にPRO社から7000万円の債権回収を受けられる見込みだったが、入金がなかった」(日商の「破産申立書」)とされている。
 どこに債権があって、どこに債務が存在するのか。どちらが債権者で、どちらが債務者なのか。親密企業との複雑な取引はPRO社が倒産した今、大きな疑念を伴う不信感となって業界に渦巻いている。
 事態が解明される過程でPRO社が自ら被った急激な信用収縮の嵐が、今度は周辺企業に伝播する可能性もある。建機レンタル業界で「不正取引」と疑われる不可解な取引の事実がいつ明かされるのか。関係者は「切歯扼腕」の思いで事態を見つめるしかない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年1月18日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

東京商工リサーチ

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GEが会社分割を検討 金融で引当金7000億円 – 日本経済新聞

 【ニューヨーク=稲井創一】米ゼネラル・エレクトリック(GE)は16日、金融子会社GEキャピタルの保険事業で引当金に相当する特別費用として62億ドル(約7000億円)を2017年10~12月期決算で計上すると発表した。大幅な業績悪化が避けられない情勢で、ジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)は経営の抜本的な立て直しを図るため会社分割を検討していることも明らかにした。

GEは保険事業で7000億円の特別費用を計上、大幅な業績悪化が避けられない情勢に=AP

GEは保険事業で7000億円の特別費用を計上、大幅な業績悪化が避けられない情勢に=AP

 「費用計上の震度の大きさに深く失望している」(フラナリー氏)。今回の損失は、GEキャピタル傘下の保険事業ノース・アメリカン・ライフ・アンド・ヘルス(NALH)で発生した。

 NALHの資産評価を見直した結果、米国人の長寿化による老人ホーム費用や在宅治療費の増大など、将来の支払い増に備えるため62億ドルの費用計上を迫られた。

 NALHを抱えるGEキャピタルは17年12月期に計画していたGE本体への40億ドル規模の配当支払い減額も検討する。GEキャピタルからの配当収入は電力事業が不振に陥っているGE本体にとって貴重な現金収入源となっている。18年以降もGEキャピタルからの配当が減る可能性がある。

 損益だけでなく、現金収支面でも打撃が避けられないことから、祝日明け16日のGE株は前週末比で3%安となった。

 危機感を強めたフラナリー氏は16日の電話会見で「(事業ごとに)別々に上場させることを含めて、これまでと違った事業構造を検討する必要がある」と述べた。複数の事業を抱えるコングロマリット型の事業形態を巡って投資家から非効率だとの批判があった。

 今回の損失でGEの強みだった財務力にも不透明感が出始めた。それだけに、各事業が成長に必要な投資資金を確保するためにも、市場から資金を機動的に調達できるよう事業ごとに上場させる会社分割への圧力はさらに高まりそうだ。

伊バイク「DUCATI」正規ディーラーだった(有)トマトモータースが破産(東京商工リサーチ)

都内3店舗で「DUCATI TOKYO WEST」を経営

 (有)トマトモータース(TSR企業コード:297935534、法人番号:6012802002860、東久留米市柳窪3-2-37、登記上:武蔵村山市三ツ藤3-50-3、設立平成12年1月、資本金300万円、大河原康社長)は1月9日、東京地裁立川支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には番場弘文弁護士(多摩八王子法律事務所、八王子市明神町4-5-3、電話042-631-5311)が選任された。
 負債総額は推定3億円。
 イタリアのオートバイメーカー・DUCATI社とBIMOTA社の正規ディーラー。一般顧客を対象とし「DUCATI TOKYO WEST」の店名で都内3店舗を運営するほか、オートバイのカスタムや車検・整備全般を手掛け、ピークとなる平成19年11月期には売上高約11億円をあげていた。しかし、オートバイ需要の落ち込みなどで、28年11月期の売上高は約6億円に落ち込んでいた。この間、経費削減や売上維持に努めたものの、資金繰りは限界に達し、今回の措置となった。

東京商工リサーチ

中小企業の支援 ものづくりの基盤を守れ – 西日本新聞

 2017年版「中小企業白書」は衝撃的な内容だった。業績不振にとどまらず、経営者の高齢化や人材不足などの影響で16年の休廃業・解散企業数は全国で過去最多の約3万件に上ったという。

 九州も例外ではない。大分県日田市の日田商工会議所などが行ったアンケートでは、市内中小企業の2割近くが後継者難などを理由に将来の廃業を検討していた。昨年7月の九州豪雨の被災地でも、事業の継続を危ぶむ中小企業が少なくないという。

 国内にある中小企業の数は企業全体の99・7%を占める。従業員数でも「3人に2人」の割合だ。現状を座視すれば、国内経済の基盤が崩壊する恐れもある。

 中小企業支援は経済活性化の喫緊の課題だ。こうした危機感を背景に、官民挙げて支援に乗り出す動きが表面化してきた。

 投資ファンド運営のドーガン(福岡市)は昨年10月、九州と中四国の中堅・中小企業の事業再生を支援するファンドを設立した。

 地方銀行をはじめ地場の事業会社が幅広く出資し、資金の地域循環を目指している。このような形の再生支援ファンドは全国的にも珍しいという。

 後継者問題を抱える企業の事業を継承し、新規事業への投資や過去の負債の整理をサポートして経営が引き継ぎやすいようにする。

 政府も中小企業の後継者確保を後押しするため、「事業承継税制」の拡充を決めた。

 経営を親族や従業員らが引き継ぐ場合、先代から譲り受けた株式の相続税などを全額猶予する。

 10年間に限った特例的な税優遇として予算措置や低金利融資と組み合わせ、中小企業の代替わりを集中的に支援する。

 引退の平均年齢とされる70歳を超える中小企業の経営者は今後10年間で245万人に上るという。

 日本経済の強みである「ものづくり技術」を継承することは地域活性化のためにも欠かせない。

 高齢化する経営者の後継者難のみならず、多角的な視点から中小企業の支援策を考えたい。

=2018/01/17付 西日本新聞朝刊=

【1/31】事業再生の新たな手法を紹介!「企業再建ADRの仕組みと活用法」出版記念セミナー – NET-IB NEWS

 企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)は、「企業再建ADRの仕組みと活用法」(銀行研修社)の出版を記念し、金融機関・支援専門家を対象に全国でセミナーを開催している。

 福岡での日程は1月31日。講師はCRC理事で、中小企業経営再建紛争解決センター(企業再建ADR)のセンター長なども務める河合保弘氏。

 ADR(Alternative Dispute Resolution、裁判外紛争解決手続)とは、公正な第三者が関与することで、訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決を図ること。CRCはADRを事業再建に用い、中立の立場で専門家が、金融機関などの債権者と債務者との調整を実施することで、企業の早期再生を支援する。

 今回のセミナーでは、企業再建ADRの活動や企業再生手法、再生支援現場における活用想定事例などを紹介・提案していく。

■『企業再建ADRの仕組みと活用法』出版記念セミナー
 ~新たなる金融調整手法の登場~
 (ADR機関 法務省認証 企業再建ADRセンターセミナー)

<日 時>
2018年1月31日(水)
午後6時~午後8時(開場:午後5時30分~)

<会 場>
TKPガーデンシティ天神【S-3】
(福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル8F)

<講 師>
河合 保弘 氏
中小企業経営再建紛争解決センター センター長、CRC理事、(司)ソレイユ代表社員
中小企業総務部、医療法人理事などの職歴を経て,1993年に司法書士登録。2001年に企業再建・承継コンサルタント協同組合創立メンバーとして参加、13年より(司)ソレイユを結成。講演は年間100回以上、著書は20冊以上に及ぶ。

<主 催>
企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)
経営革新等支援機関として経営改善計画策定支援事業を含む 410件以上の実績を持つコンサルティングファーム。多数の中小企業支援に取り組み、金融機関調整などを行ってきた経験と実績を持つ。

<参加費用>
事前振込1,400円
当日1,600円
※参加者全員に本書籍(定価1,800円)贈呈
※本書籍を持参の場合、参加費は無料(ただし書籍贈呈の対象外)

<お申し込み>
添付資料よりFAX、もしくは下記ホームページより申込み
URL:http://www.crc.gr.jp/seminar/other/adr_7.html

<全国開催スケジュール>
・1/10(水)仙台 ・1/11(木)盛岡 ・1/15(月)松江 ・1/16(火)広島 ・1/17(水)名古屋 ・1/22(月)高松 ・1/23(火)大阪 ・1/29(月)東京 ・1/30(火)鹿児島 ・1/31(水)福岡 ・2/2(金)高崎 ・2/5(月)新潟 ・2/6(火)札幌 ・2/13(火)金沢
※各会場での開催時間はホームページを参照 

<お問い合せ先>
CRCセミナー事務局
TEL:0120-518-218