【バロンズ】企業で顕在化し始めた利上げの影響 – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版



• 想定以上の急上昇の可能性

 貿易関連の不安をあおる見出しを読むのはやめ、貿易戦争のリスクが中央銀行による金利引き上げを減速させるという意見も脇に置こう。その代わりに、中央銀行の実際の動きに注目するべきだ。その一部は既に影響を及ぼし始めている。

 資産運用会社ニューバーガー・バーマンで最高投資責任者(CIO)を務めるブラッド・タンク氏は、今後の財政刺激策と賃上げはインフレ率を押し上げる強力な要因になると述べる。米中間の豚肉と鉄鋼の貿易は、米国経済のわずかな一部を占めるにすぎない。タンク氏によると、それよりも重要なのは、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを行っており、欧州中央銀行(ECB)も年末にも同様の動きを取ると予想されていることだ。



 JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は今月、株主向けの年次レターで「いずれかの時点で、FRBや他国の中央銀行が現在想定しているよりもドラスティックな手段を取ることを迫られるという可能性に対応しなくてはならない。金利は一般に予想されているよりも高い水準に、より速いペースで引き上げられる可能性がある」と警告した。

• 借り手の負担増が顕在化

 金利上昇の影響は既に出始めている。米国の家計債務残高の増加に伴い、クレジットカード破産が増加。米国破産協会(ABI)によると、3月の連邦破産法第11条に基づく破産件数は前年同月比64%増えた。「破産件数には税務申告の時期である4月にピークを迎えるという季節性があることから、3月の水準は懸念すべき兆候だ。破産のウィルスが小売店舗から他業界に広がる中、4月の件数は過去最高を更新する可能性がある」とABIはニュースレターに記載している。

 ニュースレターは次のように続く。「われわれが目にしているのは、信用サイクルの終わりの兆候だ。金利が上昇する中での借り換えという痛みを伴うプロセスにおいて、安価な債務の継続的な提供と、利息費用が存在しないも同然という状況に依存してきた多くのビジネスモデルが立ち行かなくなると思われる」。

 3月半ばの米国企業の債務残高は6兆2000億ドルで、2008年12月の2兆5000億ドルから大幅に増加している。その多くは配当、自社株買い、合併、設備投資に使われているが、今年に入って債務を増やした大企業の例を以下に挙げる。ビール最大手の アンハイザー・ブッシュ・インベブ (BUD)は2016年に醸造会社SABミラーを買収した際にレバレッジを大幅に引き上げており、2019年と2020年に満期を迎える社債の借り換え目的で社債100億ドル相当を発行した。同社はムーディーズの格付け見通しで「安定的」とされているが、不安定な経済状況とビール消費の減少が懸念材料として指摘されている。ドラッグストアチェーンのCVSヘルス(CVS)は、医療保険会社エトナ(AET)の買収に向けて400億ドルを借り入れた。食品大手のゼネラル・ミルズ(GIS)は、ペットフード大手のブルー・バッファロー・ペット・プロダクツの買収資金として社債60億ドル相当を発行した。

 グッゲンハイム・インベストメンツのアナリストは先週、「次なる景気後退は、社債市場に端を発することになるだろう。短期金利が3%前後になると、企業の債務返済能力に圧力がかかってくるはずだ」と指摘する。

• ハイテク大手は配当すべきタイミング

 調査会社データトレックの共同創業者、ニック・コラス氏とジェシカ・レイブ氏は、大手ハイテク企業に配当すべきタイミングが訪れたと述べる。ハイテク業界において、配当は規制の脅威に由来する株価のボラティリティ対策として昔から有効とされている。配当は自社株買いよりも効果的に経営陣の自信を示し、株主が株式を売るのを引き留め、継続的な利益を見込む経営陣への信頼強化にもつながる。

 グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)の2018年1株当たり利益(EPS)は41ドルと予想されている。配当性向が20%であれば1株当たり配当額は10ドル、配当利回りは1%となる。 フェイスブック (FB)の2018年予想EPSは7.25ドルで、配当性向を25%とすれば1株当たり配当額は1.45ドルとなる。控えめな配当をしたところで、同社が研究開発費を大幅に増やす妨げにはならないだろうとコラス氏は言う。



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