金融激変のかじ取り 佐銀頭取交代 上 – 佐賀新聞



就任会見で抱負を述べる佐賀銀行の坂井秀明頭取=2日、佐賀市の佐賀銀行本店

就任会見で抱負を述べる佐賀銀行の坂井秀明頭取=2日、佐賀市の佐賀銀行本店

 2日に開かれた佐賀銀行の頭取就任会見。晴れやかだった坂井秀明頭取(59)の表情が一瞬で引き締まった。「地銀再編に関しては、現時点で決まったことはないが『そのうち考えるさ』と悠長にしていられるものではない」-。

 危機感をあらわにした背景には、銀行を取り巻く環境の厳しさがある。日銀は「デフレ脱却」の掛け声の下、2010年にゼロ金利政策を復活させた。16年には民間銀行が日銀に預ける資金の一部に年0・1%の手数料を課すマイナス金利政策をスタートし、貸し出し利ざやが縮小した。佐賀銀行は貸出金や預金の量は上向いたが、有価証券の運用に苦戦。17年3月期連結決算は減収減益となり、中でも経常利益は前年比34・1%減と、この5年で最も減少幅が大きかった。

 この間、地銀再編の動きが九州で加速。15年に肥後銀行(熊本市)、鹿児島銀行(鹿児島市)が経営統合し「九州フィナンシャルグループ」が発足した。その1年後には、西日本シティ銀行(福岡市)、長崎銀行(長崎市)を傘下に置く西日本フィナンシャルホールディングスが誕生。長崎県の親和銀行を傘下とするふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)が、同県地盤の十八銀行との経営統合を発表し、公正取引委員会が審査中だ。

 九州で再編が加速する背景について、銀行の店舗戦略に詳しい成蹊大学の永野護教授は「東京一局集中の経済情勢、人口減少、金融制度改革で再編を模索せざるを得なくなった。今後の経営悪化に備え、基盤強化で生き残ろうと考えるトップが増えた」と分析。「大企業が少ない九州は福岡を除きメガバンクの進出がなく、競争が緩やかだったのだが…。地銀や信金、信組の縄張りを侵食していくだろう」と今後、県境を越えた融資競争が激化することを予想した。

 FFGと十八銀行の経営統合審査で、公正取引委員会が借り手企業に再度の意向を尋ねた調査結果が5月の大型連休前後に出るとされる。結果次第では白紙や破談になる可能性があり、統合の枠組み変化で再編の動きが加速する恐れもある。

 佐賀銀行は昭和50年代から福岡戦略を本格化させ、福岡都市圏のほか北九州や筑後地域などに38の店舗網を張り巡らす。「福岡と長崎に挟まれ、私たちはものすごく注目されている」と坂井頭取。「地銀として無理が来た時(統合を)判断することはあるかもしれないが、現在はそうではない。単独でやれないわけではない」。まずは自ら策定に携わった3カ年の中期経営計画の最終年度を全うし、次期計画を約1年かけて策定する。経営改善を進め、地域にとって最良の選択を考える針路を描いている。

   ◇   ◇

 佐賀銀行の頭取が約6年ぶりに交代した。金融環境が急変する中、銀行の在り方そのものが変化せざるを得なくなっている。これまでの歩みを振り返るとともに、県内最大の金融機関が描く生き残り策を展望する。



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