メルカリ小泉社長「初任給を一律にしない理由」 – 日経ビジネスオンライン



あの会社の「初任給40万円」は本当に高額?

2018年4月16日(月)

 メルカリの社長に就任してから1年が経つ小泉文明さん。この間、金融関連の「メルペイ」、即時買い取り「メルカリNOW」、シェアサイクル「メルチャリ」と、立ち上げた新規事業はどれも注目を集めたが、今春は人事制度の大胆な改革が話題を呼んだ。その真意を語る。

(構成:呉 承鎬)

小泉 文明(こいずみ・ふみあき)
メルカリ社長兼COO
早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBC(現・大和証券)でミクシィやディー・エヌ・エーといったIT企業のIPO(新規株式公開)を担当。2007年にミクシィに転職し、執行役員CFOとしてコーポレート部門を統轄する。12年に退任後、スタートアップ支援を経て、13年12月メルカリに入社。14年3月取締役就任。17年4月、創業者の山田進太郎さんから引き継いで現職に就く。(写真:稲垣 純也)

 皆さんは初任給の金額を覚えていますか? 私の場合、確か額面で約18万円でした。はるか10年以上前の話にもかかわらず覚えているのは、低すぎる金額に衝撃を受けたからです。オークションサイトで稼いでいた学生時代よりも毎月の収入が減って、やる気がそがれました…。まあ、これは半分冗談ですが(笑)。

 その後“年功序列システム”によって金額は少しずつ上がったし、当時の私は社員寮を利用させてもらっていた身。しかし、「それにしても、この金額は…」と不満でしたね。腑に落ちない気持ちは、今でも変わりません。

 4月から、新入社員向けに新人事制度「Mergrads(メルグラッズ)」を始めました。評価体系やスキルアップの支援策をまとめたもので、目玉の1つは初任給です。全員一律ではなく、アウトプットや能力・経験に応じて決めるようにしました。金額設定には、内定から入社までの過ごし方も関係してきます。スキルや経験を身につければ、高い評価を得られる可能性があるのです。

 「社員のスキルや経験には差があるから、一人ひとりと向き合って常に適切に評価する。これは入社1年目の新人に対しても同じ」との考えからで、とても自然でまっとうだと思っています。そればかりか、そうした評価を実施することは経営者の責任とさえ言える。

初任給“格差”への批判

 ところが、メルグラッズを2月末に発表して以降、社外から様々な意見を頂きました。代表的なのが、「学生の能力は正しく測れない」「初任給から差をつけたら、意欲が下がる」という声です。

 1つ目については、当社には当てはまりません。インターンシップ中でも仕事をどんどん任せてチャンスを与えているので、能力を測れる。また、大学での研究成果や学外活動も、人を評価する判断指標になるはずです。

 2つ目のモチベーション低下については杞憂でしょう。本人と真摯に向き合って、「○○と□□の理由で、◇◇と評価しました」と丁寧に伝えれば、納得を得られるはず。むしろ「初任給は全員20万円です」という方が、かつての私のようにモチベーションが下がるのでは? 周りよりも評価が低い場合は「低い理由」「今後意識してほしいポイント」をフィードバックし、チャンスを与える。この方がモチベーションは上がります。

 最初はAさんの給料が高くてBさんが低くても、Bさんが大器晩成型なら後で評価が大きく変わるかもしれない。常にチャンスを与えて、その時々でフェアに評価していけば大丈夫です。

 今の若い子たちは昔に比べて仕事の「やりがい」を重視している傾向がありますが、かといって決して給与の額を軽視しているわけではない。優秀な人ほど、自分をプロフェッショナルとして金銭面でも評価してほしいと思っている。今はそんな時代です。

ほかの社員と同様に、新入社員にも高い期待を寄せる小泉さん。「かつてと違い、現代の新入社員にはプログラミングなど自分でモノを作りやすいというメリットがある。ビジネスは1つの答えがあるテストではないので、試行錯誤を楽しむ姿勢が重要。若い感性を武器にして、空気を読まず、どんどん提案してほしい」。写真は、2017年度の新入社員と開いたランチ会(小泉さんの隣は、創業者の山田さん)。





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