有望株をAIで漏らさず発掘、三菱UFJ銀行が新たな融資サービス – ITpro



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メガバンクが「本丸」業務にAI(人工知能)を活用する。これまで難しかった、創業から日の浅いスタートアップへの融資に適用。マイナス金利政策など逆風をバネに新施策に踏み出す。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2018年3月、中核の三菱UFJ銀行を通じてAI(人工知能)ベンチャーのエクサウィザーズに出資した。MUFG子会社でFinTechを手掛けるJapan Digital Designがエクサウィザーズと提携し、新たな金融サービスを開発する。

 狙いは有望なスタートアップを発掘し、融資することにある。AIが入出金の傾向などを分析し、融資の可否を見極める。例えば「顧客からの信用度が高い」「主要な取引先から期限通りに入金がある」といった情報を基に判断する。「人では難しかった変化をAIはとらえられる」(三菱UFJ銀行)。

 これまでは3期分の財務諸表や入出金データなどを基に与信を判断するのが一般的だった。これでは創業間もないスタートアップは十分な情報をそろえられない。きらりと光る技術や優良な取引先を持っていても融資を受けられない事態になりかねなかった。

 銀行側から見ると、将来有望な取引先を見過ごすことにもなっていた。特にFinTechやビッグデータ、仮想通貨の基盤技術である「ブロックチェーン」といった新分野は、創業から日が浅いスタートアップが存在感を示す例が少なくない。大手企業への融資を前提にしたこれまでの与信審査のままでは、有望なスタートアップが網にかからず、抜け落ちてしまう。

 今や売上高9兆円規模のソフトバンクグループでさえも35年以上前は銀行から融資を得るのに苦労した。当時の銀行の多くが将来性を見抜けなかった。未来の孫正義氏を見過ごさないようにするのが狙いである。

 MUFGは2018年度中に与信モデルの構築や実証実験を終えて、2019年度から本格展開を目指す。まずは傘下の銀行での利用を見込み、将来的には地方銀行への開放も検討する。

みずほは個人向け融資をAIで判断

 みずほ銀行はソフトバンクとの共同出資会社を通じて、個人向け融資の判断にAIを使っている。取引履歴を含めて100種類以上の情報をAIが分析し、顧客の信頼性を点数化する。三井住友銀行は取引先の業績変動をAIが予測するシステムを開発している。

 これまでメガバンクのAI活用といえば、問い合わせ対応や事務処理の代替が一般的だった。例えば、AIを備えたチャットボットが顧客からの口座残高やクレジットカード利用額の問い合わせに自動応答するという具合だ。

 そこから一歩踏み込み、融資という中核業務にAIを活用し始めたのは危機感の表れといえる。金融緩和やマイナス金利政策によってメガバンクの収益環境は悪化した状態が続く。各行とも店舗の統廃合を含めた構造改革案を打ち出しているのはそのためだ。さらに少数精鋭で最大限の成果を出すため、AIの力を借りる。

表 銀行の主なAI活用事例

これまでは照会応答業務が中心

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出典:日経コンピュータ、2018年4月12日号 p.14 「三菱UFJ銀、融資判断にAI活用 未来の「孫氏」を見過ごすな」を改題
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。





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