アパレル版「アンドロイド」を目指す、スタートアップの挑戦 – Forbes JAPAN



オンライン・カスタムシャツブランドを世界展開するオリジナル・スティッチ。コワーキングの聖地、SOMAのCEOが日本のモノづくりに目をつけた理由とは。
Tシャツにパーカー、ジーンズ、スニーカー。シリコンバレーで暮らすジン・コー(37)にとってそれは、変える必要のない鉄板コーディネートのはずだった。イノベーションの震源地がシリコンバレーから“サンフランシスコ”に移るまでは。

2006年のツイッターを皮切りに、ユニコーンのAirbnbやウーバー、スクエア、インスタグラムが、サンフランシスコのダウンタウンにあるコワーキングスペースの聖地、SOMA(ソーマ)地区で創業すると、スタートアップシーンに新しいファッションスタイルが生まれた。社員たちが周辺にある流行りのレストランに繰り出そうと、店のドレスコードに合わせておしゃれなシャツを着るようになったのである。

ジンもその中の1人だった。カリフォルニア大学バークレー校でプログラミングやエコシステムのあり方を学んだ彼は、SOMAでアプリ開発のスタートアップを経営していた。が、寝る間を惜しんでプラットフォームの開発を急ぐなかで、たまに欲しくなる新しいドレスシャツ(ワイシャツ)の購入はえらく億劫だった。加えてサイズの違いやデザインの好みなど思うように買えないことに苛立ちを覚えていた。

そこでひらめいたのが、オーダーメイドシャツの販売サイト。ところが彼は実際にシャツを製造する工場を、安価に大量生産できる中国や東南アジアではなく、日本に求めた。いったいなぜか。ジンはこう言う。

「世界中の縫製工場を見て回りましたが、日本の生産技術は飛び抜けていました。最新鋭のCAD/CAM(生地自動裁断機)を導入し、品質管理も完璧。何よりもカスタムシャツでキモとなるパーツを縫い合わせるハンドメイドの技術は、イタリアやフランスよりも高度だったのです。そこには自分の仕事や役割に誇りを持つ日本人独特の職人魂があり、すっかり魅せられました」

14年、ジンはオンライン・カスタムシャツブランド「Original Stitch(OS、オリジナル・スティッチ)」を立ち上げ、スマホのアプリを使って10億通りのデザインから自分に似合うシャツを5分でオーダーできるプラットフォームをリリースした。

OSが製造委託するシャツメーカー最大手の山喜は、百貨店の平場でダンヒルなどのライセンスブランドを展開しているほか、量販店やロードサイドからプライベートブランドの生産を請け負う老舗企業である。国内外に12の直営・契約工場があり、年間1100万枚のシャツを生産。連結売上高は176億円。OSの注文を受ける信州工場には120人の職人がいて、100の工程があるハンドメイドのオーダーシャツを1日に400枚、OS向けには100枚を仕立て、国内外に配送している。





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