食品スーパー、業績失速 8割が営業減益・赤字 人件費高騰が直撃 – 日本経済新聞



 食品スーパー業界の業績が急失速している。上場28社の2017年度第3四半期決算が13日に出そろった。新規出店などの効果で売上高に当たる営業収益は小幅に増加したが、営業損益は8割に相当する23社が減益か赤字となった。前年同期の減益は9社だった。パートやアルバイトの時給上昇などが利益を圧迫した。通年でみた17年度の業績は現状で22社が増益を見込み、下振れのリスクが高まっている。

 17年3~11月期か同4~12月期の決算を発表した主要食品スーパーの業績を集計した。ライフコーポレーションなど、営業収益が大きい上位4社は軒並み減益だった。13日は埼玉県に本社を置くヤオコーが決算を発表し、営業利益は161億円だった。単体決算だった前年同期より14%増えた。

 28社の営業利益の合計額は931億円と8%減った。営業収益は約4兆6000億円と4%増えた。粗利益(営業総利益)も480億円増えた。一方で販売管理費が膨らみ、粗利益の改善で補えなかった。

 不振企業が急増したのは、人件費の増加の影響が大きい。例えば岐阜県に本社を置くバローホールディングスは17年4~12月期の営業利益が111億円と7%減った。人件費が前年同期よりも31億円増えた。人件費負担が変わらなければ増益を確保できていた計算だ。

 人手不足をきっかけにパートやアルバイトの時給が上昇している。17年度の都道府県別最低賃金の全国平均は5年前と比べると1割超増えた。ライフコーポの岩崎高治社長は「人件費の上昇は一過性ではない」と警戒する。

 16年10月からはパート従業員などの厚生年金と健康保険の適用基準も拡大した。人手確保のため求人広告を出すなどの採用費も膨らみつつある。大手スーパー幹部は「人繰りがつかない店舗では、時給2000円以上のコストで派遣社員を雇っている」と明かす。

 食品スーパーを取り巻く事業環境は長期的にも厳しい。人口減や高齢化が進む中、コンビニエンスストアやドラッグストアとの競争が激しさを増しているからだ。ローソンの竹増貞信社長は「単身世帯の増加で料理をしない顧客が増えている」とし、弁当や総菜の強化に力を入れる。

 消費者が低価格品か高額品のどちらかを求める「メリハリ消費」の広がりも逆風だ。食品スーパーは他の店舗でも買える商品が多いため、値下げ圧力が強まりやすい傾向がある。加えて物流費や都市部の地代家賃、光熱費といった費用の増加傾向も追い打ちをかける。

 人手不足の打開策となるのが業務の効率化だ。ヤオコーの川野澄人社長は「店舗の業務を『見える化』し、なくせる仕事を選別していきたい」と話す。大手各社は肉や魚などを切ったり、パック詰めしたりする作業を工場に集約し、店舗作業の低減も図る。都市部の店舗ではセルフ式レジの導入も進めている。

 M&A(合併・買収)も相次いでいる。15年にはマルエツやカスミなどイオン系3社が統合し、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)が誕生した。中国地方や九州地方を地盤とするリテールパートナーズも17年に福岡県の同業と経営統合した。(野口和弘)





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