<NEWS追跡>入管難民法違反事件 新千歳経由「身元洗浄」 – 北海道新聞



 スリランカ国籍の男女2人が、マレーシア国籍の女の手引きで同国籍の別人の旅券を使って新千歳空港から不法入国した事件で、男女は道警に逮捕された後、「スイスで難民申請するつもりだった」と供述していたことが捜査関係者への取材で分かった。難民流入増大に悩み入国管理の厳格化が進む欧州に直接向かわず、欧州から信頼の厚い日本に入国した「実績」を身元保証代わりにして渡航する狙いがあったとみられる。道警は同様の不法入国に警戒を強めている。

 「まさか日本を足がかりに欧州に渡ろうとしていたとは。マネーロンダリング(資金洗浄)ならぬ『身元ロンダリング』だ」。道警幹部は驚きを隠さない。

 東南アジアでは北海道観光人気が高まり、特にタイやマレーシアからの入国は短期滞在ならビザが免除される。捜査関係者は、3人が新千歳空港を経由地に選んだ理由について「観光客に紛れて入国がしやすいと考えたのでは」と推測。今回の事件でも入国時の申請は短期滞在だったという。

 道警外事課によると、逮捕されたのは入管難民法違反(不法入国)の罪で起訴済みのスリランカ国籍の男(30)と女(33)と、2人を手引きし同法違反(営利目的集団密航助長)の罪で起訴済みのマレーシア国籍のカマチ・エス・アップ被告(41)。3人はマレーシアで合流後にタイの空港経由で6月30日に新千歳に到着後、逮捕された。新千歳から成田空港を経てスイスに行く計画だったという。

 同課によると、男は「スリランカで、軍から暴行を受け、スイスの友人のところに逃げたかった」と供述した。男女は、スリランカの少数派タミル人が使うタミル語を話していた。

 スリランカの内情に詳しい和光大の渋谷利雄教授(文化人類学)によると、同国では民族間対立を背景に2009年まで約30年間内戦が続き、終結後もタミル人への抑圧が残る。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、年間6千人前後が同国から欧州に渡り難民申請している。

 欧州では国境の閉鎖や難民認定厳格化が進む。渋谷教授は「長く内戦が続いたスリランカから欧州への直接の入国は認められにくい。欧州から見て信頼が厚い先進国の日本を経由すれば身元が疑われにくいと考えた可能性がある」とみる。





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