安保理、シリア攻撃非難のロシア案否決 – 日本経済新聞



 【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は米英仏によるシリア攻撃を受けて14日午前、緊急会合を開いた。アサド政権を支援するロシアが提出した攻撃を非難する決議案を採決したが、賛成はロシアと中国、ボリビアの3カ国のみで賛成票が足りず否決された。米英仏はダマスカス近郊で化学兵器がアサド政権に使用されたことを機に攻撃に踏み切った。「化学兵器の使用は許されない」という欧米を中心に攻撃を容認する機運が鮮明となった。

米英仏のシリア攻撃を非難するロシアのネベンジャ国連大使(ニューヨークの国連本部)=国連提供

米英仏のシリア攻撃を非難するロシアのネベンジャ国連大使(ニューヨークの国連本部)=国連提供

 今週5回目となる緊急会合はロシアと反米路線のボリビアが要請した。ロシアの決議案では化学兵器禁止機関(OPCW)による調査が始まったばかりでの攻撃に「深い懸念を表明」、「国連憲章と国際法違反」と非難した。常任理事国として拒否権を持つ米英仏のほか、オランダやポーランドなど8カ国が反対、ペルーやカザフスタンなど4カ国が棄権した。安保理は15カ国で構成されており、圧倒的多数が非難に傾かなかった。

 ロシアのネベンジャ国連大使は会合で「シリアへの攻撃を最も強い言葉で非難する」と述べ、「米国は既に破滅的な人道状況をさらに悪化させ、シリア市民に苦しみをもたらす」と批判。化学兵器が使用されたという確証がないまま攻撃に踏み切ったことを非難したうえで、「外交の破壊行為だ」と糾弾した。中国もいかなる軍事力行使に反対するとし、シリア情勢を悪化させるだけだとしてロシアの肩を持った。

 米国のヘイリー国連大使は攻撃は「報復でも懲罰でも象徴的に武力を示すことでもなく、アサド政権が将来化学兵器を使うことを抑止するためだ」と反論。ロシアの拒否権行使がアサド政権に化学兵器を使っていいという「青信号」だったと指摘した。ロシアはシリアの化学兵器を巡る決議案に6回拒否権を行使し、疑惑解明の調査を握りつぶしてきた。

 ヘイリー氏は14日朝のトランプ米大統領との会話で「トランプ氏はもしアサド政権が再び毒ガスを使うことがあれば、米国は臨戦態勢となると語った」と明かし、さらなる軍事行動も辞さない構えを示した。

 首都ダマスカス近郊の東グータ地区での7日の化学兵器使用疑惑を巡っては、連日の会合でアサド政権が使ったと主張する欧米と、証拠がないとするロシアの対立が繰り返された。

 フランスは14日、独立調査機関の設立を含む包括的なシリア危機解決のための決議案を近く配布すると明かした。だが米国による独立調査機関の設立決議案は10日にロシアの拒否権行使で否決となり、中立国のスウェーデンも新たな設立決議案を出したが採決の見通しは立っていない。





コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です