長崎労働局:長崎県立大の無期転換逃れ、認めず – 毎日新聞 – 毎日新聞



無期転換の仕組み



 繰り返し有期契約を更新して働く非正規職員2人を今春で雇い止めする方針を示した長崎県立大が、長崎労働局から「社会通念上認められない」との指摘を受け、雇い止めを撤回したことが大学や労組への取材で分かった。2人は、契約が更新されれば、契約期間が通算5年を超えた非正規労働者が期間の定めのない無期契約に替われる「無期転換ルール」の適用対象だった。

 今年4月から無期転換の申し込みが本格化するのを前に、大学に限らず多くの職場で転換目前の労働者を雇い止めする動きがあり、問題化している。だが労働局の指摘が明らかになったケースはほとんどなく、専門家は「労働局が『無期転換逃れの脱法行為を許さない』との姿勢を明示した意義は大きい」と話す。

 長崎県立大や全国一般長崎地方労働組合などによると、2人は学内のサーバー管理などをする、いずれもシステムエンジニア(SE)の男性。うち1人は2004年4月から1~3年ごと、もう1人も13年4月から1年ごとの契約更新などで働いてきた。ともに今年4月に契約が更新されれば、無期契約への転換を大学に申し込めるはずだった。

 しかし大学側は昨年10月、2人に雇い止めの方針を伝える一方「県立大での通算雇用期間が5年を超えない」との条件で新たなSEを募集。2人は「無期転換逃れだ」として大学に雇い止めの撤回を求め、労働局に大学への指導を求めた。

 労働局が昨年12月に大学に示した文書によると、労働局は2人が繰り返し契約更新されてきた上、大学が新規募集で「通算雇用期間が5年を超えない」との条件を付けた点などを踏まえ「雇い止めは客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と判断。「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘した。

 大学側は取材に「指摘を厳粛に受け止め、適切に対応する」と回答。大学は2人を4月以降も雇用し、他の非正規の事務職員らについても通算5年としていた契約期間の上限を事実上撤廃する。

 非正規労働者の問題に詳しい日本労働弁護団常任幹事の中川拓弁護士(長崎県弁護士会)は「これまでは雇い止めにされた非正規労働者を法的に救済するのは難しかった。労働局が何度も契約が更新されている実態を重視し、強い姿勢を示した意義は大きい」と指摘する。【樋口岳大】

無期転換ルール

 有期労働契約を繰り返す非正規労働者の雇用安定のため、2013年4月施行の改正労働契約法で定められた。13年4月以降に結んだ有期契約が通算5年を超え、労働者が使用者に申し込めば期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる。今年4月から無期転換の申し込みが本格化する。

5年雇い止め続発

 2013年4月施行の改正労働契約法で「無期転換ルール」が設けられた後、多くの大学が就業規則を変更し、有期契約の更新を繰り返す非正規教職員の通算契約期間を、無期転換の申し込み権が発生しない「上限5年」とした。このため、労働者側から「脱法的な無期転換逃れだ」との反発が相次いでいる。

 早稲田大では、非常勤講師の労組が東京都労働委員会に救済を申し立て、大学側が5年の上限を撤回。東京大や長崎大なども有期雇用職員について5年の上限を撤廃する方針を示した。一方、上限がある東北大では、非正規職員が労働審判などを申し立て、立命館大でも不当な手続きで上限が設けられたとして非常勤講師らが学長らを刑事告発する事態になっている。

 非正規労働者の雇用問題に詳しい脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)は「長崎労働局は合理的な理由がない雇い止めは許されないという当然の判断を示した。模範的な雇用者であるべき大学が無期転換逃れをすることは許されず、長崎労働局の指摘は他大学にも影響するだろう」と話した。

 同様の問題は大学に限ったことではなく、日本労働弁護団が今月3日に実施した無期転換問題に関する全国一斉ホットラインには約100件の相談が寄せられた。弁護団には医師や航空関連社員、研究機関など幅広い職種から相談があり、厚生労働省も無期転換に関する緊急相談ダイヤル(0570・069276)を開設するなどしている。【樋口岳大】






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