海外解禁のくまモン、中国で急増「偽モン」に苦肉の策 熊本 – 産経ニュース



 中国で、熊本県の人気キャラクター「くまモン」の不正利用が横行している。県が10月にくまモンの関連商品への海外企業の参入を全面的に解禁するのも、「偽モン」による市場乗っ取りを防ぐための苦肉の策だ。(谷田智恒)

 熊本県の蒲島郁夫知事は1月8日、香港で開かれた人気キャラクターの国際見本市「香港国際授権展(ライセンシング・ショー)」の会場で、くまモンの「海外自由化」を宣言した。

 蒲島氏に同行した県くまモングループの職員は、そこで、信じられない光景を目の当たりにした。

 熊本県が出展した「くまモン」の正規ブースのすぐ近くに、「偽モン」ブースがあった。慌てて会場を見て回ると、偽物のブースが4カ所もあった。どれも中国企業のブースだった。

 現場に並んだ商品は明らかに使用権の許可を得ていなかった。それでもあるブースの責任者は「熊本の事業者から正式にライセンスを譲り受けた」と言い張った。

 ●海外進出

 くまモンは、平成23年の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に合わせて、熊本のイメージアップを狙い、誕生した。

 県はくまモンの関連商品について、熊本県のPRにつながるならばと国内の企業に限り、登録を認めた上で使用料は原則、無料としてきた。結果的に、数え切れないほどの関連グッズが生まれ、知名度も高めた。

 25年には全国のゆるキャラグランプリで優勝した。外国人観光客の増加も、人気に拍車をかけた。

 県は翌年、県内に本社か製造拠点を置く企業に限り、関連商品の海外への輸出を解禁した。

 だが、偽モンの脅威にさらされた。27年、熊本県の許諾を得ずに、関連グッズを製造した中国・浙江(せっこう)省の玩具製造業者に、現地の行政機関は立ち入り検査に踏み切った。違法商品は没収され、厳しい行政処分が下った。

 それでも、知的財産権の侵害に歯止めがかからない。中国のインターネットサイト上では偽物グッズが氾濫する。特に、熊本地震以後、目立つ。県が昨年、中国で抜き打ちで調べた商品54点のうち、県に登録したのは3点にとどまった。

 上海では日本の温浴施設「大江戸温泉物語」を名乗る施設が、くまモンそっくりのキャラクターを無断で使い、物議を醸した。

 昨年秋には、南京の居酒屋で片方のほっぺを青色で塗ったり、しま模様にした偽モンが店先でPR役を買っていたのが確認された。

 県くまモングループの磯田淳課長は「海外にはくまモンのライセンス関連の窓口がなく、使用権をめぐる正しい情報が伝わらない。それをいいことに、勝手に許可を得たと名乗る業者も暗躍している」とこぼす。

 そこで、県は偽物対策に本腰を入れる。対中国では、くまモンに関する知的財産権を守る「くまモン顧問弁護士」、千葉康博弁護士が動いた。千葉氏は県の業務委託を受け、現地の弁護士に再委託する形で対処する。浙江省の業者への行政処分も、現地からの通報がきっかけだった。

 ●ブランドを守れ

 偽商品への対策は後手になりがちだ。そこで、熊本県は路線転換を図った。

 今後は海外企業にもくまモンの利用を認めながらも使用料を徴収し、商標管理や不正利用の対策に充てる方針を打ち出した。

 県は、海外での著作権管理に詳しい広告代理店と連携し、世界各地に、正規代理人と申請窓口を置く。

 代理人には、くまモン利用の許可を出したり、違反行為を監視し、摘発も行うといった一連の法的手続きを委ねる。

 海外での使用料収入を、偽物対策に充てる手法は、世界的にも人気のあるキャラクターを所有する企業では一般的だ。

 とはいえ、海外企業による関連商品の生産を認めれば、県内企業の販路を脅かすことにもなりかねない。

 「海外解禁」の表明があった後、一部の県内業者には取引のキャンセルが相次ぐ。それでも磯田氏は「いたちごっこかもしれないが、正規品をきちんと認め、偽物を排除することでしか、ブランドは守れない。東京五輪・パラリンピックを契機に、県内企業のビジネスチャンスもより広げるための後押しもしたい」と語った。





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