工藤会トップが無罪主張 「会からの収入ない」 – 日本経済新聞



 暴力団工藤会(本部・北九州市)総裁の野村悟被告(71)ら2人が所得税法違反罪に問われた福岡地裁(足立勉裁判長)の公判で12日、野村被告の被告人質問が始まった。同被告は「会からの収入はなかった」と述べ、改めて無罪を主張した。建設業者らから集められた多額の「上納金」はトップの個人所得か、それとも組織に帰属するのか。暴力団の集金システムを巡る法廷でのやりとりに注目が集まる。

「上納金」を巡る構図

 野村被告は昨年10月の初公判で「私の所得と言われたものは、私のものではありません」と起訴内容を否認。上納金について、公の場で暴力団トップが語るのは極めて異例だ。

 午前10時ごろ、グレーのコートに紺色のスーツ姿の野村被告はゆっくりとした足取りで法廷に入ると、傍聴席を一瞬見やった。左耳に集音器をつけ、落ち着いた様子で音の確認などを行った。

 弁護側から工藤会での役職や権限について確認されると「総裁になってから、権限は一切譲ってしまってありません」と主張。運営への関与についても「一切関わりない」と強い口調で答えた。

 上納金の実態に話が及ぶと、裁判官を見据えながら「分かりません」と答えた。総裁になる前の会長時代も、実質的な運営は最高幹部の1人である田上不美夫被告(61)=組織犯罪処罰法違反罪などで起訴=に任せきりだったと主張した。

 上納金と個人資産を混同していたかについても「まったく別々で、会からの収入はない」と説明。両親が所有していた北九州市内の農地や山林を売却するなどして得た7億円超を個人資産として保有していたとした。

 上納金を知人のマンション購入など私的用途に使っていたとする検察側の主張については、一時的に立て替えを頼んだとした上で「自宅の金庫から同額の現金を渡した」と説明した。自身の兄弟や子供への相続状況について問われると、考え込むそぶりも見せた。

 福岡地裁には多くの傍聴希望者がつめかけ、用意された10席の傍聴券を求めて約80人が並んだ。

 公判では工藤会が建設業者らから集めたとされる上納金の一部を巡り、野村被告の個人所得だと主張する検察側に対し、弁護側は工藤会に帰属すると反論し対立。同会の金庫番とされ、野村被告とともに審理されている山中政吉被告(67)は11日の公判で「金は野村被告らの交際費で会のもの」「マンションの金は会が一時的に立て替えたもので、すぐに返してもらった」と述べ、脱税には当たらないと訴えた。

 起訴状によると、野村被告は山中被告と共謀し、10~14年に集められた上納金のうち約8億900万円を個人の収入として得たが申告せず、約3億1900万円を脱税したとしている。





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